隣の家の天才クラリネット演奏者が、甘すぎる愛を注いできます
凛也さんの家に入ると、外見よりも広く感じるほど白で統一された綺麗な部屋だった。

凛也さんがそのまま私を防音室まで案内する。

「じゃあ、まずはもう一度昨日の曲を弾いて下さい。昨日は近くで聞けなかったので」

私は緊張しながらも、昨日の曲を弾いた。

弾き終わると、凛也さんが少し(うつむ)きながら何かを考え込んでいる。

「すみません……下手ですよね……」

私の言葉に凛也さんが顔を上げた。

「そうですね。上手とは言えません。でも、なんで私が想乃さんに教えたいと考えたと思いますか?」

「え?クラリネットが好きだからじゃないんですか……?」

「もちろんクラリネットは好きですが、教えて欲しい人全員に教えていたら僕の練習時間がなくなります。想乃さんは特別ですよ」

凛也さんが優しく微笑んだ。
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