隣の家の天才クラリネット演奏者が、甘すぎる愛を注いできます
その私の後ろ姿を凛也さんが見ている。

そして、私に聞こえないほどの小さな声でもう一度何か言った。


「昨日より服装は無防備じゃないのに、昨日より可愛く見えるものですね」


凛也さんの言葉は私には届かない。

「凛也さん、早くレッスン再開しますよ。もうバーでの演奏まで二週間切ってるんですから」

「どの口が言ってるんですか。それは教える側のセリフです」

凛也さんがため息をつきながら、レッスンを再開した。

甘い溺愛が始まりかけた音を私はまだ知らない。
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