隣の家の天才クラリネット演奏者が、甘すぎる愛を注いできます
「にしても、想乃さんが私を見たこと無かったのは驚きました」

「あ、気づかなくて……」

「僕は気づいていたのに、ひどいですね」

「毎朝、仕事に行くときはバタバタしてて、周りが目に入ってなかったのかも……」

「僕だけ気づいていたのは何処か悔しいですね」


その時、もう一度凛也さんが私の両頬を掴んだ。

そして、私に顔を近づける。


「じゃあ、これからはちゃんと僕のことを見て下さい。僕も想乃さんのことちゃんと見るので。出来ますか?」


その時の凛也さんの微笑み方が優しすぎて、私は気づいたら頷くことしか出来なかった。

きっともう私は隣人の溺愛の罠にかかり始めている。
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