隣の家の天才クラリネット演奏者が、甘すぎる愛を注いできます
私は恥ずかしくなって、パッと目を逸らしてしまう。

「想乃さん」

凛也さんに名前を呼ばれても、顔を見ることが出来ない。

「想乃さんが本当に嫌なら行きませんが……」

「っ!……大丈夫です……」

私の言葉に凛也さんがクスッと笑った声が聞こえた気がした。

「想乃さん、こちらを向かないんですか?」

「ちょっと待って下さい!」

私は心臓が速なるのを整えようと、ゆっくり深呼吸をする。


「想乃さん、こっち向いて」


私はそっと凛也さんの方に顔を向けた。


「想乃さん、バーでの演奏が無事に終わったらご褒美にデートしませんか?」


「っ!?ご褒美にデートですか……!?」


「ええ。二週間レッスンの先生を頑張った僕にご褒美を下さい」

私へのご褒美ではなくて、凛也さんへのご褒美だと言われると、私が断りづらいことを凛也さんは知っている。
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