隣の家の天才クラリネット演奏者が、甘すぎる愛を注いできます
ジョットコースターは思ったよりも混んでいなくて、すぐに乗り終わってしまう。

ジェットコースターに乗ったあとは、園内のアトラクションを次々に見て回った。

昼食は園内で売っているたこ焼きとピザを買って、木陰に置いてあるベンチに座った。

凛也さんがベンチに置かれた食べ物をじっと見ている。

「凛也さん?」

「いや、たこ焼きとピザって凄い組み合わせだなと思って。デートなので、もっとオシャレなものが良かったですか?」

「沢山売っている食べ物の中から、この二つを選んだのは私ですよ?」

「そうですが……」

少しだけ申し訳なさそうにしている凛也さんに、私はピザの蓋を開けて中身を見せる。

「凛也さん、見て下さい。とっても美味しそうです!実は私、バーでの演奏までダイエットしていて、いまもう最高に幸せです!」

そして、私はニコッと笑って言葉を付け足した。

「それにもっとオシャレなものがなんて言ったら、たこ焼きとピザに失礼ですよ!」

本当は「凛也さんと食べたら何でも美味しい」と言いたかったけれど恥ずかしくて言えなかった。

私の言葉に凛也さんが吹き出すように笑った。
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