婚約破棄された悪役令嬢は、階段から突き落とされ記憶を失う。気がつけば召使いに〜
第17話 コ、コレを持って逃げないと!
わたくしはこの書類こそが「ゼアス家の陰謀」と言われている決定的な証拠だと確信した。
「とにかく、これを持ち出さないと!」
慌てて書類を掻き集めて公務室から出ようとしたその時、アプレンが手を大きく振ってわたくしを制止した。何とサラーニャが公務室へ向かっているのだ。
「マズイわ、どうしましょう⁈」
沢山の書類を持った状態では、ここを突破するのは難しい。
「ララコスティさま、如何されましたか?」
「アプレン、ここから逃げたいの!」
「何かを掴みましたね。よーし、僕に任せて!」
「どうするの?」
「僕がサラーニャさまを引きつけておくから!」
「無茶しないで、アイツは怪力なのよ」
「大丈夫さ!」
サラーニャが間近に迫っていた。わたくしは一旦公務室へ戻り様子を伺う。
「おい、ララコスティは中に居るのか?」
「サラーニャさま! そ、それがですね、こちらで大変なことがありまして……」
アプレンは公務室を通り越した廊下までサラーニャを誘導していく。
「あん⁈ 何だ?」
わたくしはそーっと覗く。アプレンは目で「逃げろ!」と合図をした。幸い後ろ姿のサラーニャには気付かれていない。
「うん! 今だわ!」
慎重に廊下へ一歩踏み出し、そのまま一気に階段まで走った。でもアプレンのことが気になって振り返ってみる。すると何やら揉めているような光景が目に映った。
「あぁ、このままわたくしだけ行っていいの⁈ アプレンはサラーニャに折檻されるかもしれないわ。やっぱり見捨てるわけにはいかないっ!」
わたくしは意を決した。
「アプレン、逃げてーー!」
「あっ、ララコスティ! お、お前、そこで何してるんだ!」
サラーニャが振り返った隙にアプレンが猛ダッシュして逃げる。
「こらあ、待てえーーーっ!」
鬼の形相でサラーニャが追う。階段を降り切ったわたくしたちに頭上から怒鳴り声が聞こえた。
「おーい、そこの騎士たちィ、その者らを捕らえよーっ!」
宮殿を警護している騎士団へ呼びかけたのだ。あっという間に数人の騎士がわたくしたちを取り囲む。
「あぁっ……!」
「ふふふ、良い度胸してるじゃないか? ララコスティ。二度とそんなマネしないよう、念入りに折檻せんとな……さ、来るんだ!」
しかし、騎士団はわたくしたちの盾となり、サラーニャへの引き渡しを拒んだ。
「あん⁈ 何をしてる?」
騎士団の行動に理解できない彼女の前に、後方から一人の騎士が現れた。
「そこまでだ、サラーニャ!」
──ええっ、タ、タカフミィーニさまあーー⁈
「とにかく、これを持ち出さないと!」
慌てて書類を掻き集めて公務室から出ようとしたその時、アプレンが手を大きく振ってわたくしを制止した。何とサラーニャが公務室へ向かっているのだ。
「マズイわ、どうしましょう⁈」
沢山の書類を持った状態では、ここを突破するのは難しい。
「ララコスティさま、如何されましたか?」
「アプレン、ここから逃げたいの!」
「何かを掴みましたね。よーし、僕に任せて!」
「どうするの?」
「僕がサラーニャさまを引きつけておくから!」
「無茶しないで、アイツは怪力なのよ」
「大丈夫さ!」
サラーニャが間近に迫っていた。わたくしは一旦公務室へ戻り様子を伺う。
「おい、ララコスティは中に居るのか?」
「サラーニャさま! そ、それがですね、こちらで大変なことがありまして……」
アプレンは公務室を通り越した廊下までサラーニャを誘導していく。
「あん⁈ 何だ?」
わたくしはそーっと覗く。アプレンは目で「逃げろ!」と合図をした。幸い後ろ姿のサラーニャには気付かれていない。
「うん! 今だわ!」
慎重に廊下へ一歩踏み出し、そのまま一気に階段まで走った。でもアプレンのことが気になって振り返ってみる。すると何やら揉めているような光景が目に映った。
「あぁ、このままわたくしだけ行っていいの⁈ アプレンはサラーニャに折檻されるかもしれないわ。やっぱり見捨てるわけにはいかないっ!」
わたくしは意を決した。
「アプレン、逃げてーー!」
「あっ、ララコスティ! お、お前、そこで何してるんだ!」
サラーニャが振り返った隙にアプレンが猛ダッシュして逃げる。
「こらあ、待てえーーーっ!」
鬼の形相でサラーニャが追う。階段を降り切ったわたくしたちに頭上から怒鳴り声が聞こえた。
「おーい、そこの騎士たちィ、その者らを捕らえよーっ!」
宮殿を警護している騎士団へ呼びかけたのだ。あっという間に数人の騎士がわたくしたちを取り囲む。
「あぁっ……!」
「ふふふ、良い度胸してるじゃないか? ララコスティ。二度とそんなマネしないよう、念入りに折檻せんとな……さ、来るんだ!」
しかし、騎士団はわたくしたちの盾となり、サラーニャへの引き渡しを拒んだ。
「あん⁈ 何をしてる?」
騎士団の行動に理解できない彼女の前に、後方から一人の騎士が現れた。
「そこまでだ、サラーニャ!」
──ええっ、タ、タカフミィーニさまあーー⁈