婚約破棄された悪役令嬢は、階段から突き落とされ記憶を失う。気がつけば召使いに〜
第21話 ご婚約おめでとうございます!
ここに一通の招待状がある。シンクリア王子とモモシャリーの婚約パーティー兼同窓会の招待状だ。以前、わたくしがここへ立ち寄った際に置き忘れたものだが、これって同級生だったわたくしのだよね? 一枚余ったから処分しろってサラーニャが言ってたけど。
それにしても、ゼアス家はお咎めを受けるのかしら? そうだとしたら婚約パーティーって行われるのかな?
「どうされましたか? ララコスティさま」
「お爺様、このパーティーに行くべきなのかしら? 中止にはならないの?」
「パーティーは明日ですよ。中止の連絡は来ておりません。ララコスティさま、シンクリア王子の元婚約者として行きづらいのは理解できますが同級生の慶事ですから、お辛いでしょうがお祝いしなくてはなりませんよ」
「お祝いねぇ……」
お祝いどころか、沸々と怒りが湧いてくるわ。労役とはいえ、このわたくしに対して数々の無礼な振る舞い。このままでは済まさないわ、復讐よ!
「お爺様、わたくしなりのお祝いをしようかしら」
「と、仰いますと?」
ふん、知れたこと。モモシャリーとサラーニャを一発殴って祝福するのよ!
「ちょっと考えてみますわ」
「ねぇ、僕も宮殿の前まで一緒に行くよ!」
「うん、うん、アプレンもおいで。うふふ」
そして当日を迎えた。
「お姉さま、綺麗ー!」
「アヤーナ、ちょっと派手じゃない?」
「いいの、いいの。主役を食っちゃえー!」
うふっ、悪くないわ。この真紅のドレスに似合うアクセサリーもモモシャリーには負けないわ!
「ララコスティさま、馬車の用意が整いました。それと、騎士団が護衛するとのことでお待ちになられています」
「騎士団が?」
「団長の命令だそうですよ」
まぁ、タカフミィーニさまったら、わたくしのことを心配なされてー。
「今、参りますわ!」
わたくしはアプレンと馬車に乗り宮殿へと向かう。その馬車を前後する形で団員が周りを固めていた。やがて宮殿に到着したが、わたくしは馬車から降りようとはしない。
「ララコスティさま? 遅刻しますよ」
「う、うん。なんだか怖くて」
「労役は解かれています。何も怖がることはありませんよ。あぁ、僕も会場まで入れたらなー」
「念のため、我々が護衛につくよう団長から指示されていますので何の心配もございません」
「ありがとう。もう少しだけ気持ちを整えてから行くわ」
「ララコスティさま……震えてるの?」
「大丈夫よ」
皆さん、ごめんなさい。怖くて震えてるんじゃないの。武者震いってやつなの。それとね、少し遅刻するくらいがちょうど良いのよ。
その頃、会場では婚約パーティーが盛大に行われていた。
「それではシンクリア第一王子さまと筆頭公爵家ご令嬢、モモシャリーさまの婚約パーティーを開催いたします!」
華やかなパーティー会場で貴族院の同級生たちが祝福の拍手を送っている。そして王子の挨拶になると、その言葉を傾聴しようと会場が静かになった。
──とその時、わたくしは扉を開けた。
ギィィ……バーンッ!
「えっ、何⁈」
「誰なの⁈ あの派手な御方は⁈」
「ああっ、ラ、ララコスティだ!」
皆さんがわたくしに注目する。
「ご婚約おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます」
それにしても、ゼアス家はお咎めを受けるのかしら? そうだとしたら婚約パーティーって行われるのかな?
「どうされましたか? ララコスティさま」
「お爺様、このパーティーに行くべきなのかしら? 中止にはならないの?」
「パーティーは明日ですよ。中止の連絡は来ておりません。ララコスティさま、シンクリア王子の元婚約者として行きづらいのは理解できますが同級生の慶事ですから、お辛いでしょうがお祝いしなくてはなりませんよ」
「お祝いねぇ……」
お祝いどころか、沸々と怒りが湧いてくるわ。労役とはいえ、このわたくしに対して数々の無礼な振る舞い。このままでは済まさないわ、復讐よ!
「お爺様、わたくしなりのお祝いをしようかしら」
「と、仰いますと?」
ふん、知れたこと。モモシャリーとサラーニャを一発殴って祝福するのよ!
「ちょっと考えてみますわ」
「ねぇ、僕も宮殿の前まで一緒に行くよ!」
「うん、うん、アプレンもおいで。うふふ」
そして当日を迎えた。
「お姉さま、綺麗ー!」
「アヤーナ、ちょっと派手じゃない?」
「いいの、いいの。主役を食っちゃえー!」
うふっ、悪くないわ。この真紅のドレスに似合うアクセサリーもモモシャリーには負けないわ!
「ララコスティさま、馬車の用意が整いました。それと、騎士団が護衛するとのことでお待ちになられています」
「騎士団が?」
「団長の命令だそうですよ」
まぁ、タカフミィーニさまったら、わたくしのことを心配なされてー。
「今、参りますわ!」
わたくしはアプレンと馬車に乗り宮殿へと向かう。その馬車を前後する形で団員が周りを固めていた。やがて宮殿に到着したが、わたくしは馬車から降りようとはしない。
「ララコスティさま? 遅刻しますよ」
「う、うん。なんだか怖くて」
「労役は解かれています。何も怖がることはありませんよ。あぁ、僕も会場まで入れたらなー」
「念のため、我々が護衛につくよう団長から指示されていますので何の心配もございません」
「ありがとう。もう少しだけ気持ちを整えてから行くわ」
「ララコスティさま……震えてるの?」
「大丈夫よ」
皆さん、ごめんなさい。怖くて震えてるんじゃないの。武者震いってやつなの。それとね、少し遅刻するくらいがちょうど良いのよ。
その頃、会場では婚約パーティーが盛大に行われていた。
「それではシンクリア第一王子さまと筆頭公爵家ご令嬢、モモシャリーさまの婚約パーティーを開催いたします!」
華やかなパーティー会場で貴族院の同級生たちが祝福の拍手を送っている。そして王子の挨拶になると、その言葉を傾聴しようと会場が静かになった。
──とその時、わたくしは扉を開けた。
ギィィ……バーンッ!
「えっ、何⁈」
「誰なの⁈ あの派手な御方は⁈」
「ああっ、ラ、ララコスティだ!」
皆さんがわたくしに注目する。
「ご婚約おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます」