失恋から立ち直るのに必要なのは爆発力でした
「ねえ、次はボール投げビンゴやんない?」
「えー。私は見てるだけでいい。絶対無理だから」
「じゃあ、ちょっといいとこ見せちゃおうかな」
「そんなことくらいで見直したりしませーん」
これは嘘。
実はそういうにめっぽう弱い。
些細なことでも、自分が苦手なことをパッとできる人って、どうしたってカッコよく見えてしまう。
だけど言わないでおこう。
神林くんは私の悪たれ口も笑って聞き流して、スタッフに参加料を払った。
それからボールを何度か真上に投げて、感触を確認して……
おっ、第1球を投げるのかな?
と思ったら、突然こっちを振り向いた。
「俺の見せ場なんだから、ちゃんと見ててね」
「わかったから、投げて」
期待していることがバレないように、わざとぞんざいな返事をした。