失恋から立ち直るのに必要なのは爆発力でした

 神林くんはビンゴの的に向き直った。

 私は神林くんの投球を見届けるのに、無関心な顔を作った。

 けれど、そんなのはまるで意味がなかった。

 あっさり崩れてしまったから。

 神林くんの手を離れたボールは、緩い弧を描いたあと、的をぶち抜いてしまったのだ。

「わっ、すごい!」

 私は思わず手を叩いた。

 第2球、第3球……

 終わる頃には、中央広場にいるちびっ子たちのヒーローになっていた。


「あー、あと1球だったのにな」

 悔しそうな神林くんに向かって、私は両手を掲げた。

 不服そうながら、神林くんはそれに応じてハイタッチしてくれた。

「十分すごかったよー。その1球だって惜しかった!」

 フレームに当たって跳ね返ってしまったのだ。

 あとほんの少しズレていればパーフェクトだった。

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