失恋から立ち直るのに必要なのは爆発力でした

「そうだ! 失恋には『次の恋』っていうよね?」

「はあ?」

「なら、次は俺のこと好きになってよ」

「はああ?」

 夏川くんがダメなら『はい、次!』だなんて、夏川くんへの想いが薄っぺらいどころか、まやかしだったみたいだ。

「やめて! 私の恋はそんなチャラいものじゃないの。神林くんとは違うんだから、軽く扱わないでよ」

「俺の気持ちも、そんなふうにチャラいって決めつけないでほしいんだけどな」

「だってチャラいじゃない」

「俺は大真面目だよ。思うに、次の恋に移るには、前の恋を噴き飛ばすための爆発力みたいなのが要るんだろうな。だったら今日のところは、パアっと遊んでみよう」

「ち、ちょっとー!」

 そんなこと微塵も望んでないってば。

 届かなかったけれど、私はこの恋を大切にしておきたいのー!

 だって、それでこそ、この気持ちは本物だったってことでしょう?

 噴き飛ばすだなんて、もってのほかなんだって!

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