このたび、お見合い相手の御曹司と偽装結婚いたします~かりそめ妻のはずが旦那様の溺愛が溢れて止まりません~
今日は孫の誕生日で休みを取っている。
「そうなの? よかった。じゃあ今日から自分の部屋で寝られるのね」
美汐は顔をほころばせる。
エアコンの調子が悪くなって以来夜は暑くて眠れず、仕方なく客間で寝ていたのだ。
「よかったじゃないだろ」
大我の大きな声が部屋に響いた。
「これはいったいなんなんだ?」
高ぶる声とともに、大我が傍らに置いていた茶封筒を手に取った。
「あ、それ」
美汐は目を見開いた。
「沙織も萩野さんも留守で、仕方なく俺がエアコンの修理に立ち会ったんだ。その時これを見つけたが、どういうことだ?」
「そのことなら、今日言おうと思っていて……」
まさかここでいきなりこの話になるとは思わず、美汐は言葉を詰まらせた。
「内定通知とは、冗談だとしても笑えないな」
怒りが滲む低い声を聞きながら、美汐はテーブルに放り出された茶封筒を慌てて手に取った。
これは美汐が努力を重ねて手に入れた、家から出るためのパスポートのようなもの。
長く入社を希望している企業から届いた内定通知だ。
「もしかして、見たの?」
美汐は信じられないとばかりにそう言って、大我に視線を向けた。
「当然だ。あの『千早不動産』からだぞ。気になるに決まってるだろ」
大我は荒々しい声で答え、ふんと鼻を鳴らす。
美汐は頭を抱えた。
こんな時にエアコンが故障し、おまけに予定外に早まった修理。
たまたま机の上に置いていた自分の不注意だが、運が悪いとしか言いようがない。
「で、どういうことなんだ? まさか俺に内緒で採用試験でも受けたのか?」
「それは」
美汐は視線を泳がせる。
「そうなの? よかった。じゃあ今日から自分の部屋で寝られるのね」
美汐は顔をほころばせる。
エアコンの調子が悪くなって以来夜は暑くて眠れず、仕方なく客間で寝ていたのだ。
「よかったじゃないだろ」
大我の大きな声が部屋に響いた。
「これはいったいなんなんだ?」
高ぶる声とともに、大我が傍らに置いていた茶封筒を手に取った。
「あ、それ」
美汐は目を見開いた。
「沙織も萩野さんも留守で、仕方なく俺がエアコンの修理に立ち会ったんだ。その時これを見つけたが、どういうことだ?」
「そのことなら、今日言おうと思っていて……」
まさかここでいきなりこの話になるとは思わず、美汐は言葉を詰まらせた。
「内定通知とは、冗談だとしても笑えないな」
怒りが滲む低い声を聞きながら、美汐はテーブルに放り出された茶封筒を慌てて手に取った。
これは美汐が努力を重ねて手に入れた、家から出るためのパスポートのようなもの。
長く入社を希望している企業から届いた内定通知だ。
「もしかして、見たの?」
美汐は信じられないとばかりにそう言って、大我に視線を向けた。
「当然だ。あの『千早不動産』からだぞ。気になるに決まってるだろ」
大我は荒々しい声で答え、ふんと鼻を鳴らす。
美汐は頭を抱えた。
こんな時にエアコンが故障し、おまけに予定外に早まった修理。
たまたま机の上に置いていた自分の不注意だが、運が悪いとしか言いようがない。
「で、どういうことなんだ? まさか俺に内緒で採用試験でも受けたのか?」
「それは」
美汐は視線を泳がせる。