君の花火を忘れない
一匹狼くん
「この間言っていたように、校外学習の班決めをします。誰かひとりでも余るようなら、自由に決めるのはやめます」
「はーい」
私は座ったまま。だけど、3人が集まって来てくれる。
「班って女子、2人だけなんだってね〜。ジャンケンとかで決める〜?」
「私、乙音の意見に賛成だな」
「別に、なんでもいーよ!」
私も訊かれて、いいよ、と短く答えた。
「せーのっ、最初はグー、ジャンケンポン!」
あいこが何回か続いて、私と香織、乙音と亜美になった。
「乙音と亜美って、ちょっと心配かも…」
香織がそうつぶやく。
「まぁ、あとは男子だよね。どこと組む?」
「うーん…」
私は無意識にあの男の子がいるグループを探していた。
「わ、私はあそこがいいかなって思ってるんだけど…」
「ふんふん、奈那は大人しめのグループがいいんだね。あの一匹狼くんがいるグループだよね?声かけてみよっか」
一匹狼って、あの男の子のことなのかな。
「えっ、いいの?ありがとう」
「全然いいよ〜、奈那の気になるグループ、私も気になるし。奈那の心情とかね」
ふふっと笑う香織に、
「ちょっと香織…」
「ごめん、ごめん。さ、声かけよ。あのさ、創紀(そうき)、一緒の班になってくれない?」
創紀っていうんだ。その、一匹狼くん?
「別にいいぜー‼︎」
あれ、もう1人の方が答えた。
じゃあ、一匹狼くんの名前は…
「まぁ、とにかくよろしく‼︎ 香織と…?」
「奈那!私の友達!」
「奈那か。よろしく!」
創紀くんはニカっと笑って握手を求めてくる。
ここは握手すべき…?
私たちは無言で握手を交わした。
「よし、せんせー‼︎ 俺たち決まりました〜!」
ひとことも喋らなかったな、一匹狼くん。
「わかった。お前ら、1班な〜」
しばらくして、全員が班を決めた。
「これ、プリントに計画書いといて〜。計画はそれぞれ班で立ててな〜」
それぞれにプリントが配られたけど、一匹狼くんのだけプリントが足りなかった。
「あ〜、ごめん。授業終わったら、印刷してくるから、班の誰かに見せてもらって」
先生、テキトーだな。
班で計画を立てて、授業が終わった。
「ごめん、トイレ行ってくるね〜」
「うん」
香織がトイレに行って、創紀くんは外でサッカーをしに行ってしまった。
ということは、今教室にいる1班のメンバーは、私と一匹狼くんだけってこと⁉︎
「奈那、だっけ。プリント見せてくれる?」
「あ、うん」
ドキドキしながらプリントを渡す。
字、汚くないかな?
そこからくるドキドキだよ!
名前を覚えてくれてるなんて…
「一匹狼くん、」
ああっ、やってしまった…‼︎
一匹狼くんなんて呼んでしまった!
「え、俺のこと?」
「いや、違っ…違わないけど…ええっと…」
ごまかせそうにない…。
「ぷはっ、俺のことなんだ。一匹狼くんか。奈那っておもしろいんだな」
は、恥ずかしい…‼︎
「俺になんて訊こうとしたの?」
「その…名前は、なんていうのかなって」
「それだけ?俺の名前は、雅空(がく)」
ほら、とプリントに書かれた漢字を見せてくれる。
「なんか、いいね」
「なんかってなんだよ」
「えー、なんかだよ」
雅空はふきだしてたけど、私は口角をあげることしかできない。
「ほんっと、奈那っておもしれぇ。初対面なのに、もう俺、2回も笑ってる」
「数えてるんだ」
「まぁな。…プリント、見せてくれてありがと。同じ班だから…、よろしく」
私はうなずく。
もっと話したかった。なんて、言えるわけがなかった。
「はーい」
私は座ったまま。だけど、3人が集まって来てくれる。
「班って女子、2人だけなんだってね〜。ジャンケンとかで決める〜?」
「私、乙音の意見に賛成だな」
「別に、なんでもいーよ!」
私も訊かれて、いいよ、と短く答えた。
「せーのっ、最初はグー、ジャンケンポン!」
あいこが何回か続いて、私と香織、乙音と亜美になった。
「乙音と亜美って、ちょっと心配かも…」
香織がそうつぶやく。
「まぁ、あとは男子だよね。どこと組む?」
「うーん…」
私は無意識にあの男の子がいるグループを探していた。
「わ、私はあそこがいいかなって思ってるんだけど…」
「ふんふん、奈那は大人しめのグループがいいんだね。あの一匹狼くんがいるグループだよね?声かけてみよっか」
一匹狼って、あの男の子のことなのかな。
「えっ、いいの?ありがとう」
「全然いいよ〜、奈那の気になるグループ、私も気になるし。奈那の心情とかね」
ふふっと笑う香織に、
「ちょっと香織…」
「ごめん、ごめん。さ、声かけよ。あのさ、創紀(そうき)、一緒の班になってくれない?」
創紀っていうんだ。その、一匹狼くん?
「別にいいぜー‼︎」
あれ、もう1人の方が答えた。
じゃあ、一匹狼くんの名前は…
「まぁ、とにかくよろしく‼︎ 香織と…?」
「奈那!私の友達!」
「奈那か。よろしく!」
創紀くんはニカっと笑って握手を求めてくる。
ここは握手すべき…?
私たちは無言で握手を交わした。
「よし、せんせー‼︎ 俺たち決まりました〜!」
ひとことも喋らなかったな、一匹狼くん。
「わかった。お前ら、1班な〜」
しばらくして、全員が班を決めた。
「これ、プリントに計画書いといて〜。計画はそれぞれ班で立ててな〜」
それぞれにプリントが配られたけど、一匹狼くんのだけプリントが足りなかった。
「あ〜、ごめん。授業終わったら、印刷してくるから、班の誰かに見せてもらって」
先生、テキトーだな。
班で計画を立てて、授業が終わった。
「ごめん、トイレ行ってくるね〜」
「うん」
香織がトイレに行って、創紀くんは外でサッカーをしに行ってしまった。
ということは、今教室にいる1班のメンバーは、私と一匹狼くんだけってこと⁉︎
「奈那、だっけ。プリント見せてくれる?」
「あ、うん」
ドキドキしながらプリントを渡す。
字、汚くないかな?
そこからくるドキドキだよ!
名前を覚えてくれてるなんて…
「一匹狼くん、」
ああっ、やってしまった…‼︎
一匹狼くんなんて呼んでしまった!
「え、俺のこと?」
「いや、違っ…違わないけど…ええっと…」
ごまかせそうにない…。
「ぷはっ、俺のことなんだ。一匹狼くんか。奈那っておもしろいんだな」
は、恥ずかしい…‼︎
「俺になんて訊こうとしたの?」
「その…名前は、なんていうのかなって」
「それだけ?俺の名前は、雅空(がく)」
ほら、とプリントに書かれた漢字を見せてくれる。
「なんか、いいね」
「なんかってなんだよ」
「えー、なんかだよ」
雅空はふきだしてたけど、私は口角をあげることしかできない。
「ほんっと、奈那っておもしれぇ。初対面なのに、もう俺、2回も笑ってる」
「数えてるんだ」
「まぁな。…プリント、見せてくれてありがと。同じ班だから…、よろしく」
私はうなずく。
もっと話したかった。なんて、言えるわけがなかった。