死神×少女+2【続編】
とりあえず、このバッグと弁当箱は後でアヤメに返そうと思っていたら……

「これ、オレがお母さんに返してくる!!」

コランが、やる気満々で申し出てきた。
亜矢の役に立ちたい気持ちもあるが、何よりもアヤメに会いたいのだ。
アヤメと魔王は、同じマンションの1階の部屋に住んでいる。
コランは自ら望んで亜矢の部屋で暮らしているが、人間で言えば5~6歳。
やっぱりまだ母親が恋しい年頃なのだ。

「じゃあ、お願い。それなら少し、お母さんの家で遊んできたら?」
「いいのか!?」

コランはルビーのような赤い瞳をキラキラと輝かせている。
今日は休日だから、魔王も在宅だろう。
コランには、やっと叶った『家族の団欒』という大切な時間を過ごして欲しい。

「じゃ、行ってくるな!」
「うん。アヤメさんと魔王によろしくね」

コランはランチバッグを持つと駆け出して、あっという間に玄関から外へと飛び出した。
急がなくてもいいのに、よほど嬉しいのだろう。
一人になった亜矢は、さて、どうしようかと考えた。

(リョウくんの所に行ってみようかしら……)

そういえば、リョウはアヤメの懐妊の件について知っているのだろうか?
グリアの様子が何だかおかしい原因を知っているのだろうか?
色々と話したい亜矢は、同じマンションの左隣に住むリョウの家に行く事にした。
亜矢もグリアと同じように、リョウは相談相手として信頼している相手なのだ。
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