死神×少女+2【続編】
しかし、そんな心配をよそに。
その日の夜、グリアはいつものように亜矢の部屋を訪れた。
夕飯をたかるため……
そう、まさに『お腹が空いたから帰ってきた』かのように。

「死神!!あ、あんた…!学校も休んで、今までどこに……」
「それよりも飯はまだか?早く飯だ」

あんた一体、何様!?今さらだけど、亭主ぶって!!
……と亜矢は色々と思う事があるが、グリアの視線で気付いた。
今、部屋にはコランもいる。後で二人きりの時に何かを話したいのだろうと。


そして、夜9時過ぎ。
コランが先に寝室で寝静まった後、亜矢とグリアはリビングのテーブルに向かい合った。

「それで?今まで、どこに行ってたのよ」
「あぁ……死神界だ」
「死神界?そんなのあるの?」

それは亜矢が初めて聞いた、意外な世界の名。
天界でもなく、魔界でもなく、『死神界』とは予想外な答えだ。
おそらくグリアにとっては、その世界が生まれ故郷なのだろう。

「でもあんた、丸2日『口移し』してないし…その…大丈夫なの?」

『キス』ができなくて大丈夫じゃなかったのは、実は亜矢の方だなんて言えない。
コランの『チュー』のおかげで持ちこたえてはきたが……。
するとグリアが突然、亜矢に人差し指を向けた。

「その件だ」
「え?どの件?」
「まず、オレ様は死神界にいる時なら『命の力』を消耗しねえ」
「あ、なるほど」

あくまで、亜矢の『命の力』を吸収しないと生きていけないのは、人間界での話なのだ。
そこまでして人間界に居続けるグリアの真意に、亜矢は気付いていない。

「そして『口移し』の件だ」
「え?な、何よ?」
「このまま一生、『口移し』をする訳にもいかねえだろ。オレは構わねえが」
「ま、まぁ…そりゃ当然よね」

一生、毎日『キス』をしている、ラブラブ夫婦の魔王とアヤメとは訳が違うのだ。
しかし、グリアの方から『口移し』に対して否定的になるなんて、どういう事なのだろうか。
急に責任を感じて、どうしたのだろうか。
そこには、グリアの決意が秘められていた。

一生、『口移し』をしなくても、一生、二人が一緒にいられる方法。
その方法は2つ。
その1つを、グリアは亜矢に伝えようとしていた。

「『口移し』以外の方法を死神界で調べて、見付けてきた」

それはグリアからの、思いがけない提案だった。
亜矢から『命の力』を吸収する、『口移し』以外の方法とは一体……?
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