死神×少女+2【続編】
亜矢がリョウとレイナを連れて自分の部屋へと戻ると、玄関で出迎えてくれたのは元気いっぱいのコランと……もう一人。
「アヤー!!お帰りなさい!!」
「よお。邪魔してるぜ」
亜矢は玄関先から叫んだ。
「魔王!?なんで居るのよ!?」
あたかも自分の家かのように、魔王は亜矢の部屋でくつろいでいた。
「家庭訪問だ」
ニヤリ、と魔王は笑う。
「そんな話、聞いてないわ…」
亜矢が脱力していると、魔王はレイナの姿を見て興味を持ったようだ。
「見慣れないヤツがいるな?」
レイナは魔王の鋭い視線にちょっと臆しながら、頭を下げた。
「天使見習いのレイナです」
緊張気味のレイナの横で、亜矢が付け加える。
「リョウくんの妹よ。あ、レイナちゃん。この人は魔王。本名は…なんだっけ?」
「魔王オランだ。てめえ、未来の夫の名くらい覚えておけ!」
「はあっ!?何よそれ、勝手に決めないでよ!!」
何やら亜矢と魔王が言い合ってる前で、レイナはキョトンとしてリョウを見る。
「お兄ちゃん、魔王さんって亜矢さんの婚約者なの?」
「う~ん、それはグリアが許さないと思うんだけどね」
リョウは相変わらずの調子だが、レイナはどこか深刻そうな顔をしている。
亜矢はクッキーの袋を取り出すと、順々に配り始めた。
「はい、コランくん」
「わーい!ありがとう!!」
「あ、食べるのは夕飯の後よ」
「うん!!」
いつも喜んでくれるコランに心が和んだ所で、次は魔王だ。
亜矢は少し警戒体勢を取りながらも、魔王と向かい会う。
「これ、あたしとリョウくんで作ったクッキーよ」
魔王は受け取ると、それを見て何かを考えているようだった。
「手作りだから、早く食べてね?」
すると、魔王は亜矢の目の高さまで身を屈めた。
「オレ様は、どちらかと言えば手作りよりも子作りの方が………」
そこまで言いかけた所で、亜矢が魔王にビンタを食らわせようと片手を振り上げた。
だが、見事にその手を掴まれ、不発に終わった。
「ククク、甘いぜ、亜矢」
くっ、と亜矢は悔しそうに睨んだ。
なんだか、前にもこれと全く同じパターンがあったような…デジャヴを感じる。
「安心しな。子作りは、あんたを妃にしてからだぜ」
「そういう事じゃないわよっ!!」
亜矢は、魔王の手を振り払った。
そんな二人を見ていたコランが亜矢の服をチョイチョイと引張った。
「なあなあ、『子作り』って何だ?」
「えっ!?コランくん……!!」
純粋すぎる瞳で問いかけてくるコランに、亜矢は困惑する。
「ヒャハハハ!!ガキにはまだ早えよ!」
笑い飛ばす魔王。
「オレ、ガキじゃないー!!兄ちゃんのバカー!!」
亜矢は、新たにもう1つクッキーの袋を手に持つと、独り言の様に言う。
「後は、ディアさんの分なんだけど…」
すると、コランが亜矢の前方を指差した。
「アヤ、ディアなら来てるぜ。ホラ!」
え?と、亜矢がコランが指さした方向を見ると、いつの間に来ていたのか、魔王の後ろにディアの姿があった。
ディアは主人である魔王に軽く頭を下げ、落ち着いた口調で言う。
「魔王サマ、魔界にお戻り下さい。仕事が溜まっております」
こうやって、いつもディアは魔王を魔界へと連れ戻しに来る。
魔王が人間界にいる間、魔界の仕事は全てディア一人に任される為、彼の苦労は半端なものじゃないだろう。
亜矢は、そんなディアにクッキーの袋を差し出した。
「はい。あたしとリョウくんで作ったクッキーなの」
ディアは、渡されたそれの意味を理解出来なくて驚いて亜矢の顔を見た。
「わ、私に……ですか!?」
「うん」
「ありがとうございます、亜矢サマ…」
ディアは、顔を赤くしながら受け取った。
何とも分かりやすい反応を示すディアである。
「あたしの事は呼び捨てでもいいのよ?」
亜矢は笑いながら軽い気持ちで言うが、ディアは真剣な表情になる。
「いえ。亜矢サマはいずれ魔王サマの妃となり、世継ぎを産まれるお方。決してそのような無礼な事は出来ません」
亜矢は溜め息をついた。
「ディアさんまで、そんな事を…………」
魔王といい、いつの間にそんな話が勝手に進んでいるのだろうか。
だが、ディアは至って真面目なのでさすがの亜矢もツッコミにくい。
「ヒャハハハ!!分かってるじゃねえか、ディア!」
「………魔王サマ、仕事が……」
「……チッ、分かったよ。クソ真面目なヤツだ」
そうして、魔王はディアと共に一時的に魔界へと帰って行った。
「アヤー!!お帰りなさい!!」
「よお。邪魔してるぜ」
亜矢は玄関先から叫んだ。
「魔王!?なんで居るのよ!?」
あたかも自分の家かのように、魔王は亜矢の部屋でくつろいでいた。
「家庭訪問だ」
ニヤリ、と魔王は笑う。
「そんな話、聞いてないわ…」
亜矢が脱力していると、魔王はレイナの姿を見て興味を持ったようだ。
「見慣れないヤツがいるな?」
レイナは魔王の鋭い視線にちょっと臆しながら、頭を下げた。
「天使見習いのレイナです」
緊張気味のレイナの横で、亜矢が付け加える。
「リョウくんの妹よ。あ、レイナちゃん。この人は魔王。本名は…なんだっけ?」
「魔王オランだ。てめえ、未来の夫の名くらい覚えておけ!」
「はあっ!?何よそれ、勝手に決めないでよ!!」
何やら亜矢と魔王が言い合ってる前で、レイナはキョトンとしてリョウを見る。
「お兄ちゃん、魔王さんって亜矢さんの婚約者なの?」
「う~ん、それはグリアが許さないと思うんだけどね」
リョウは相変わらずの調子だが、レイナはどこか深刻そうな顔をしている。
亜矢はクッキーの袋を取り出すと、順々に配り始めた。
「はい、コランくん」
「わーい!ありがとう!!」
「あ、食べるのは夕飯の後よ」
「うん!!」
いつも喜んでくれるコランに心が和んだ所で、次は魔王だ。
亜矢は少し警戒体勢を取りながらも、魔王と向かい会う。
「これ、あたしとリョウくんで作ったクッキーよ」
魔王は受け取ると、それを見て何かを考えているようだった。
「手作りだから、早く食べてね?」
すると、魔王は亜矢の目の高さまで身を屈めた。
「オレ様は、どちらかと言えば手作りよりも子作りの方が………」
そこまで言いかけた所で、亜矢が魔王にビンタを食らわせようと片手を振り上げた。
だが、見事にその手を掴まれ、不発に終わった。
「ククク、甘いぜ、亜矢」
くっ、と亜矢は悔しそうに睨んだ。
なんだか、前にもこれと全く同じパターンがあったような…デジャヴを感じる。
「安心しな。子作りは、あんたを妃にしてからだぜ」
「そういう事じゃないわよっ!!」
亜矢は、魔王の手を振り払った。
そんな二人を見ていたコランが亜矢の服をチョイチョイと引張った。
「なあなあ、『子作り』って何だ?」
「えっ!?コランくん……!!」
純粋すぎる瞳で問いかけてくるコランに、亜矢は困惑する。
「ヒャハハハ!!ガキにはまだ早えよ!」
笑い飛ばす魔王。
「オレ、ガキじゃないー!!兄ちゃんのバカー!!」
亜矢は、新たにもう1つクッキーの袋を手に持つと、独り言の様に言う。
「後は、ディアさんの分なんだけど…」
すると、コランが亜矢の前方を指差した。
「アヤ、ディアなら来てるぜ。ホラ!」
え?と、亜矢がコランが指さした方向を見ると、いつの間に来ていたのか、魔王の後ろにディアの姿があった。
ディアは主人である魔王に軽く頭を下げ、落ち着いた口調で言う。
「魔王サマ、魔界にお戻り下さい。仕事が溜まっております」
こうやって、いつもディアは魔王を魔界へと連れ戻しに来る。
魔王が人間界にいる間、魔界の仕事は全てディア一人に任される為、彼の苦労は半端なものじゃないだろう。
亜矢は、そんなディアにクッキーの袋を差し出した。
「はい。あたしとリョウくんで作ったクッキーなの」
ディアは、渡されたそれの意味を理解出来なくて驚いて亜矢の顔を見た。
「わ、私に……ですか!?」
「うん」
「ありがとうございます、亜矢サマ…」
ディアは、顔を赤くしながら受け取った。
何とも分かりやすい反応を示すディアである。
「あたしの事は呼び捨てでもいいのよ?」
亜矢は笑いながら軽い気持ちで言うが、ディアは真剣な表情になる。
「いえ。亜矢サマはいずれ魔王サマの妃となり、世継ぎを産まれるお方。決してそのような無礼な事は出来ません」
亜矢は溜め息をついた。
「ディアさんまで、そんな事を…………」
魔王といい、いつの間にそんな話が勝手に進んでいるのだろうか。
だが、ディアは至って真面目なのでさすがの亜矢もツッコミにくい。
「ヒャハハハ!!分かってるじゃねえか、ディア!」
「………魔王サマ、仕事が……」
「……チッ、分かったよ。クソ真面目なヤツだ」
そうして、魔王はディアと共に一時的に魔界へと帰って行った。