死神×少女+2【続編】
レイナが帰り、グリアも自室に帰って行った後。
亜矢は自室の床に座り込んで、物思いに沈んでいた。
心配そうにしてコランが亜矢の側に寄るが、心ここにあらずという感じで亜矢は何の反応も返さない。
正面からコランが亜矢にギュっと抱きついた所で、ようやく気付いた。
「コランくん?」
亜矢が見下ろすと、コランは目を潤ませていた。
「やだ…!コランくん、なんで泣きそうな顔してるの!?」
一転して亜矢は驚き、慌てながらコランの顔を見返す。
「だって……、アヤが悲しそうにしてると、オレも悲しい……」
亜矢はそこで、ようやく今の自分に気付いた。
何を思い悩んでいるのだろう?こんなの、いつもの自分らしくない。
「ううん……大丈夫よ。ごめんね」
亜矢は、コランを優しく抱き返した。
そうして亜矢は、ようやく何かを決意して立ち上がった。
いつもは顔を合わせるのも腹立たしいのに、今はあえて、そこに行こうと思う。
『アイツ』の所に答えがあるのは確かだから。
顔を合わせて、いつもの口ゲンカをするだけでも構わない。
それで、いつもらしい自分に戻れるのならば。
この心の痛みが消えるのであれば。
亜矢は玄関を出ると、右隣にあるグリアの部屋のドアの前に立った。
すると、ノックもしていないのにドアがすぐに開いた。
グリアが、亜矢の気配に気付いてドアを開けたのだ。
相変わらず人の行動を見透かされているようで悔しいが、今は少し嬉しい気がする。
「よお。またクッキーでも作って来たのか?」
「そんなに毎日作れないわよ」
「なら、オレ様の『口移し』が欲しくなったか?クク…」
「バカ」
いつもらしい二人の会話。だが、どこか亜矢は控えめで勢いがない。
「死神………あたし…………」
少し間を開けて、亜矢が何かを言いかけたその時。
ドクン……!!
グリアは、何か大きな力を感じ取った。
それは、全身が震えるくらいの振動となって、グリアの中で響いた。
強大な力だ。自分と相反する異種の鼓動。
グリアの顔色が一変して険しくなった。
「え………?どうしたの?」
亜矢の問いかけすら、今のグリアには聞こえていない。
グリアは亜矢の身体を横にどけると、外に向かって走り出そうとした。
「待って、どこ行くの!?」
事態を飲み込めない亜矢はグリアを呼び止める。
「てめえはそこで待ってろ!!」
亜矢に構わずグリアは走り出そうとするが、亜矢がとっさにグリアの片腕を掴んだ。
その力強さに、グリアは思わず亜矢の方を振り返る。
「待って、待ってよ…!!もう少しなの……もう少しで答えが出そうなんだから!!」
それは、懇願にも似た叫び。
その瞳には、いつもの強気な亜矢らしくなく、いっぱいの涙が溢れている。
「亜矢?テメエ、何言って……」
「こんな時くらい、待ってよ……バカ……!バカぁっ………!!」
「………っ!!」
グリアは言葉では返さず、亜矢の両肩を掴むと、グっと力強く引き寄せた。
そのままの勢いで流れるようにして、驚いた顔をした亜矢の唇に深く重ねた。
それは今までにない、意識が霞んでしまう程に深く長い『口付け』だった。
言葉はなくとも、亜矢の戸惑いや不安を全て受け止めようとする彼の力強い意志が伝わってくる。
ようやく、肩に添えた両手を放して解放したが、亜矢の頬には零れ落ちた涙が伝っている。
「待ってろ」
言い聞かせるように眼前で強く言うと、グリアは亜矢を残して走り出した。
亜矢はグリアを追う事なく、その場でしゃがみこんだ。
今のは、確かに『口移し』ではなく『口付け』だった。
「グリ…ア……」
そのまま、亜矢はドアにもたれかかりながら泣き崩れた。
亜矢は自室の床に座り込んで、物思いに沈んでいた。
心配そうにしてコランが亜矢の側に寄るが、心ここにあらずという感じで亜矢は何の反応も返さない。
正面からコランが亜矢にギュっと抱きついた所で、ようやく気付いた。
「コランくん?」
亜矢が見下ろすと、コランは目を潤ませていた。
「やだ…!コランくん、なんで泣きそうな顔してるの!?」
一転して亜矢は驚き、慌てながらコランの顔を見返す。
「だって……、アヤが悲しそうにしてると、オレも悲しい……」
亜矢はそこで、ようやく今の自分に気付いた。
何を思い悩んでいるのだろう?こんなの、いつもの自分らしくない。
「ううん……大丈夫よ。ごめんね」
亜矢は、コランを優しく抱き返した。
そうして亜矢は、ようやく何かを決意して立ち上がった。
いつもは顔を合わせるのも腹立たしいのに、今はあえて、そこに行こうと思う。
『アイツ』の所に答えがあるのは確かだから。
顔を合わせて、いつもの口ゲンカをするだけでも構わない。
それで、いつもらしい自分に戻れるのならば。
この心の痛みが消えるのであれば。
亜矢は玄関を出ると、右隣にあるグリアの部屋のドアの前に立った。
すると、ノックもしていないのにドアがすぐに開いた。
グリアが、亜矢の気配に気付いてドアを開けたのだ。
相変わらず人の行動を見透かされているようで悔しいが、今は少し嬉しい気がする。
「よお。またクッキーでも作って来たのか?」
「そんなに毎日作れないわよ」
「なら、オレ様の『口移し』が欲しくなったか?クク…」
「バカ」
いつもらしい二人の会話。だが、どこか亜矢は控えめで勢いがない。
「死神………あたし…………」
少し間を開けて、亜矢が何かを言いかけたその時。
ドクン……!!
グリアは、何か大きな力を感じ取った。
それは、全身が震えるくらいの振動となって、グリアの中で響いた。
強大な力だ。自分と相反する異種の鼓動。
グリアの顔色が一変して険しくなった。
「え………?どうしたの?」
亜矢の問いかけすら、今のグリアには聞こえていない。
グリアは亜矢の身体を横にどけると、外に向かって走り出そうとした。
「待って、どこ行くの!?」
事態を飲み込めない亜矢はグリアを呼び止める。
「てめえはそこで待ってろ!!」
亜矢に構わずグリアは走り出そうとするが、亜矢がとっさにグリアの片腕を掴んだ。
その力強さに、グリアは思わず亜矢の方を振り返る。
「待って、待ってよ…!!もう少しなの……もう少しで答えが出そうなんだから!!」
それは、懇願にも似た叫び。
その瞳には、いつもの強気な亜矢らしくなく、いっぱいの涙が溢れている。
「亜矢?テメエ、何言って……」
「こんな時くらい、待ってよ……バカ……!バカぁっ………!!」
「………っ!!」
グリアは言葉では返さず、亜矢の両肩を掴むと、グっと力強く引き寄せた。
そのままの勢いで流れるようにして、驚いた顔をした亜矢の唇に深く重ねた。
それは今までにない、意識が霞んでしまう程に深く長い『口付け』だった。
言葉はなくとも、亜矢の戸惑いや不安を全て受け止めようとする彼の力強い意志が伝わってくる。
ようやく、肩に添えた両手を放して解放したが、亜矢の頬には零れ落ちた涙が伝っている。
「待ってろ」
言い聞かせるように眼前で強く言うと、グリアは亜矢を残して走り出した。
亜矢はグリアを追う事なく、その場でしゃがみこんだ。
今のは、確かに『口移し』ではなく『口付け』だった。
「グリ…ア……」
そのまま、亜矢はドアにもたれかかりながら泣き崩れた。