死神×少女+2【続編】
第8話『運命への繋がり』
堕天使となったリョウは、今まで閉ざしていた亜矢への想いを解放し、グリアに宣戦布告をした。
それでも、月曜日になれば普通に学校生活の朝は訪れる。
だが『グリアとリョウ』、たった1つの絆が切れただけで、全てのバランスが崩れ始めていたのだ。
朝、亜矢が教室に入ると、リョウが亜矢に向かって話しかけてきた。
「亜矢ちゃん、おはよう」
そう言うリョウの笑顔は、普段と何の変わりもない。
だが亜矢は顔を上げてリョウの顔を見ると、少し頬を赤らめて視線を泳がせた。
「お、おはよう……リョウくん」
亜矢は、思い出してしまったのだ。
先日、突然にリョウに抱きしめられた事を。
今まで、リョウの事は頼れる仲間であり、友達だと思っていた。
なのに……あの時、初めてリョウの事を別の意味で意識した気がする。
そんな不自然な亜矢の反応を見て不審に思ったのは、少し離れた所から二人を見ていたグリア。
リョウは亜矢に挨拶をした後、今度はグリアの近くに歩み寄った。
グリアは特に避ける事なく、正面から近付いてくるリョウを鋭く見据えた。
「グリア、おはよう」
リョウは笑顔を崩す事なく、グリアに向かって明るく言った。
「………………」
グリアは何も言い返さない。
最近はずっと全く目も合わせなくて、会話も断っていた二人だ。
それが、突然に何事もなかったような顔で話しかけてきたのだ。
一体、リョウは何を考えているのか。逆に警戒したくなる。
そんなグリアとリョウの姿を、今度は亜矢が少し離れた所から見ていた。
(あれ?仲直りしたのかしら?)
内容までは聞こえないが、二人が何か会話を交わしているのを見て、亜矢は思った。
リョウは特にそれ以上話しかける事なくグリアの横を通り過ぎようとしたが……。
ちょうど通り過ぎる瞬間に足を止め、グリアの横で小さく口を開いた。
「亜矢ちゃんのあんな顔、見た事ある?」
グリアは瞳を開いた。
リョウは口元で小さく笑った。
「ないよね?だって、いつも強引に『奪っている』だけだもんね。……亜矢ちゃんの、心以外のモノを」
次の瞬間、グリアは激しい勢いで全身をリョウの方に向けた。
「リョウ、テメエッ!!」
その勢いに加速をつけたまま、グリアはリョウに掴みかかろうとした。
その様子を見ていた亜矢は、グリアの異常なまでの剣幕に驚いた。
(やっぱり、仲直りしてない!!)
亜矢はグリアを止めようと、二人に向かって走り出そうとした。
「死神、だめよっ!!」
だが、この事態を静めたのは、亜矢ではなかった。
「オラァッ!!テメエら、静まりやがれ!!席に着きなぁ!!」
突然に教室内に響いた、迫力のある怒声。
気付くと、教卓の前にこのクラスの担任・魔王先生が立っていた。
魔王は教卓を両手でバン!!と叩くと、グリア達の方に顔を向けて、その鋭い眼光で睨み付けた。
「オレ様のクラスで好き勝手に騒ぐ事は許さねえ。文句ある奴は消えな!」
騒然としていたクラス内の生徒達はバタバタと慌てて着席した。
グリアもそれに合わせるように、ゆっくりと自分の席に向かった。
亜矢はグリアの方を心配そうに見た。
あそこまで感情的になるなんて、グリアらしくない。
いつもは何があっても余裕で、感情を素直に表さないグリアが。
魔王もまた、教卓側から亜矢達の様子を見て、思った。
(なるほどな。確かに、ただのケンカじゃなさそうだな)
グリアとリョウがケンカしようが、魔王にとってはどうでもいい問題だ。
だが、沈んだ表情の亜矢を見ていると、何故か自分もおかしくなるようだ。
魔王は心で舌打ちをした。
(チッ。面倒だが、オレ様も動くしかねえな)
いつもは自分の為にしか動かない魔王。
だが、この時もまた、たった一人の少女が魔王を動かしたのだ。
それでも、月曜日になれば普通に学校生活の朝は訪れる。
だが『グリアとリョウ』、たった1つの絆が切れただけで、全てのバランスが崩れ始めていたのだ。
朝、亜矢が教室に入ると、リョウが亜矢に向かって話しかけてきた。
「亜矢ちゃん、おはよう」
そう言うリョウの笑顔は、普段と何の変わりもない。
だが亜矢は顔を上げてリョウの顔を見ると、少し頬を赤らめて視線を泳がせた。
「お、おはよう……リョウくん」
亜矢は、思い出してしまったのだ。
先日、突然にリョウに抱きしめられた事を。
今まで、リョウの事は頼れる仲間であり、友達だと思っていた。
なのに……あの時、初めてリョウの事を別の意味で意識した気がする。
そんな不自然な亜矢の反応を見て不審に思ったのは、少し離れた所から二人を見ていたグリア。
リョウは亜矢に挨拶をした後、今度はグリアの近くに歩み寄った。
グリアは特に避ける事なく、正面から近付いてくるリョウを鋭く見据えた。
「グリア、おはよう」
リョウは笑顔を崩す事なく、グリアに向かって明るく言った。
「………………」
グリアは何も言い返さない。
最近はずっと全く目も合わせなくて、会話も断っていた二人だ。
それが、突然に何事もなかったような顔で話しかけてきたのだ。
一体、リョウは何を考えているのか。逆に警戒したくなる。
そんなグリアとリョウの姿を、今度は亜矢が少し離れた所から見ていた。
(あれ?仲直りしたのかしら?)
内容までは聞こえないが、二人が何か会話を交わしているのを見て、亜矢は思った。
リョウは特にそれ以上話しかける事なくグリアの横を通り過ぎようとしたが……。
ちょうど通り過ぎる瞬間に足を止め、グリアの横で小さく口を開いた。
「亜矢ちゃんのあんな顔、見た事ある?」
グリアは瞳を開いた。
リョウは口元で小さく笑った。
「ないよね?だって、いつも強引に『奪っている』だけだもんね。……亜矢ちゃんの、心以外のモノを」
次の瞬間、グリアは激しい勢いで全身をリョウの方に向けた。
「リョウ、テメエッ!!」
その勢いに加速をつけたまま、グリアはリョウに掴みかかろうとした。
その様子を見ていた亜矢は、グリアの異常なまでの剣幕に驚いた。
(やっぱり、仲直りしてない!!)
亜矢はグリアを止めようと、二人に向かって走り出そうとした。
「死神、だめよっ!!」
だが、この事態を静めたのは、亜矢ではなかった。
「オラァッ!!テメエら、静まりやがれ!!席に着きなぁ!!」
突然に教室内に響いた、迫力のある怒声。
気付くと、教卓の前にこのクラスの担任・魔王先生が立っていた。
魔王は教卓を両手でバン!!と叩くと、グリア達の方に顔を向けて、その鋭い眼光で睨み付けた。
「オレ様のクラスで好き勝手に騒ぐ事は許さねえ。文句ある奴は消えな!」
騒然としていたクラス内の生徒達はバタバタと慌てて着席した。
グリアもそれに合わせるように、ゆっくりと自分の席に向かった。
亜矢はグリアの方を心配そうに見た。
あそこまで感情的になるなんて、グリアらしくない。
いつもは何があっても余裕で、感情を素直に表さないグリアが。
魔王もまた、教卓側から亜矢達の様子を見て、思った。
(なるほどな。確かに、ただのケンカじゃなさそうだな)
グリアとリョウがケンカしようが、魔王にとってはどうでもいい問題だ。
だが、沈んだ表情の亜矢を見ていると、何故か自分もおかしくなるようだ。
魔王は心で舌打ちをした。
(チッ。面倒だが、オレ様も動くしかねえな)
いつもは自分の為にしか動かない魔王。
だが、この時もまた、たった一人の少女が魔王を動かしたのだ。