死神×少女+2【続編】
そして、昼休み。
亜矢とグリアは人気のない場所を選んで、並んで昼食を食べる。
グリアと二人きりで昼食なんて、いつもの亜矢ならば不本意な事。
だが、今日は自然な流れでこうなった。
グリアは朝からずっと無言のままだった。

「どうしたのよ?あんたが黙ってるなんて、不気味だわ」

亜矢は心で心配しながらも、いつもながらの冷たい態度だ。
それでも返事をしないグリア。

「栄養が足りないんじゃないの?ホラ、あんたの大好物」

亜矢は自分の弁当箱以外にもう1つの箱を取り出すと、フタを開けてグリアの目の前に差し出した。
その弁当箱の中には、おにぎりが3つ、綺麗に並んで入っていた。

「肉入りおにぎりよ。いらないの?」

からかうように亜矢が言うと、グリアはムっとしながらも弁当箱ごと受け取った。
そして、次々と平らげていき、完食した。
いつもらしいグリアの食べっぷりに、亜矢は思わず笑った。
満腹になって機嫌を取り戻したのか、グリアは徐々に口数が増え始めた。
だが、グリアは最後に真剣な顔になり、こう言ったのだ。

「決着を付けなきゃならねえ。オレ様は行くぜ」

唐突で意味を理解出来なかった亜矢は、キョトンとして聞いた。

「行くって、どこへ?」

グリアは遠くの空を見つめ、そこに向かって独り言のように呟いて答えた。

「天界だ」

亜矢の心臓が大きくドクンと高鳴った。
グリアが口にした行き先は、あまりにも想像が出来ない場所だからだ。
確かに、亜矢は以前に魔王に招待されて『魔界』に行った事はあるが。
今度は『天界』。どこまで世界は広がるのだろうか。
何か、とてつもなく大きな事をグリアはしようとしている。
それだけは、亜矢にも分かる。
亜矢には、その途方もない行き先を口にするグリアに対して、今は言葉を返す事すら出来なかった。






帰宅すると、いつものように玄関でコランが笑顔で出迎えた。

「アヤ、おかえり~!!」

相変わらずコランの笑顔は癒しだなあと亜矢は微笑みつつ。
その時、亜矢にはすでに、ある決意があった。

「コランくん、お願いがあるの」

真面目な顔で亜矢に言われ、コランは一瞬驚いた顔をしたが、すぐにパっと明るい表情になった。

「うん!オレ、アヤの願いなら何でも叶えるぜ!!」

赤色の瞳を輝かせ、コランは自信満々にそう答えた。
コランは元々、亜矢の願いを叶える為に召喚された悪魔だ。
亜矢が本気で自分を頼ってくれた事が嬉しいのだ。
亜矢は思い切って言った。

「天界に連れて行って欲しいの」

あまりに意外な願い事に、さすがのコランも驚いた様子だ。
亜矢は少し弱気になった。

「やっぱり出来ない……かしら?」

自分には何の力もないし、天界に行ったとしても何が出来るかなんて分からない。
でも、今自分が行くべき場所、全ての結論はそこにある気がしたのだ。
グリアに言った所で、一緒に連れて行ってくれるはずはない。
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