死神×少女+2【続編】
コランは少し俯いて考えた後に答えた。
「うーん、出来るかもしれないけど、兄ちゃんに怒られるかも…」
コランが少し困りながら言うと、どこからか声が響いてきた。
「その心配はありませんよ」
その声にコランと亜矢がハっと振り向く。
クローゼットの前に、いつの間にか青年が立っていたのだ。
「ディアッ!!」
コランが叫び、ディアに向かって走り、腰元に抱きついた。
ディアはニッコリ笑って、コランを抱き返した。
「王子サマ。お元気そうですね」
魔王とコランに仕える魔獣・ディアは、本来の姿が魔獣とは思えない程の真面目で穏やかな性格をした青年だ。
コランはディアに抱きついたまま、顔を上げた。
「ディア、オレの事は『コラン』って呼んでくれ!な?」
「はい。コラン様」
迷う事なく、ディアは了解した。
ディアはコランを溺愛しており、従順なのだ。
「亜矢サマ」
ディアは、亜矢に視線を向けた。
「私が、天界までお連れします」
思いがけない言葉に、亜矢は思わず「えっ?」と声を出して驚いた。
コランも少し驚いて、ディアに問いかけた。
「兄ちゃんが許してくれるかな?」
ディアは相変わらず笑顔で優しく答えた。
「コラン様。私がここにいるという事は、魔王サマのご意志なのですよ。亜矢サマとコラン様を天界までお連れするというのが私の使命であり、魔王サマからのご命令なのです」
亜矢は、魔王の事を思い浮かべた。
確かに魔王は助言をしてくれたが、ここまで協力的に動いてくれるとは思わなかった。
「魔王が……そんな事を?」
まさか、グリアが天界に行く事も、亜矢が天界に行こうとする事も魔王は見通していたというのか。
何はともあれ、今はそんな魔王の協力が心強く、素直に嬉しい。
「心配はありません。亜矢サマとコラン様は私がお守りします」
ディアはそう言うと、クローゼットの扉を開けた。
以前、ここに魔界への入り口を繋げた時と同じように、今回もこの中に天界への入り口を繋げるつもりなのだ。
だが、コランがディアに向かって訴えた。
「待って、オレがやる!アヤの願いは、オレが叶えるんだ!!」
コランは自分の手元にポンッ☆と『悪魔の槍』を出現させた。
コランは、自分の力で天界への入り口を作るというのだ。
ディアはこれもすぐに了解し、クローゼットから少し離れた。
「はい。お願いします」
「コランくん、お願い!頑張って!」
亜矢もコランに声援を送る。
コランは二人のお願いを受けて、嬉しく思いながらも真剣に精神を集中した。
槍の先をクローゼットの中に向け、力を放った。
「えいっ!!」
槍から放たれた魔法の力はクローゼットの中で光り輝き、やがてそこに渦巻く空間が出来上がった。
コランは恐る恐るクローゼットの中を覗き、次にディアを見た。
「成功した……か?」
ディアもその中を覗き、コランに微笑んだ。
「はい。ご立派ですよ、コラン様」
コランはパっと瞳を輝かせた。そして同時に亜矢も。
「すごい、コランくん!!ありがとう!」
亜矢からも褒められ、コランは照れながら笑った。
「さあ、参りましょう。私が案内します」
ディアが先頭に立ち、クローゼットの中の空間に飛び込んだ。
亜矢は多少の不安も抱えつつ、コランと手を繋ぎながらその空間へと飛び込んだ。
(天界へ……)
果たして、向かった先に何があり、自分には何が出来るのか。
目的も不明確ではあったが、今の亜矢はとにかく、自分の思うままに向かうべき場所へと進む事を決意したのだ。
そう。この時の亜矢は気付いていなかったが……
グリアがあの時、亜矢にわざわざ行き先を告げたのは何故か。
グリアは、今回の事が自分だけの闘いではない事を悟っていた。
運命を切り開くのに必要なのは、自分の力だけではない事を。
「うーん、出来るかもしれないけど、兄ちゃんに怒られるかも…」
コランが少し困りながら言うと、どこからか声が響いてきた。
「その心配はありませんよ」
その声にコランと亜矢がハっと振り向く。
クローゼットの前に、いつの間にか青年が立っていたのだ。
「ディアッ!!」
コランが叫び、ディアに向かって走り、腰元に抱きついた。
ディアはニッコリ笑って、コランを抱き返した。
「王子サマ。お元気そうですね」
魔王とコランに仕える魔獣・ディアは、本来の姿が魔獣とは思えない程の真面目で穏やかな性格をした青年だ。
コランはディアに抱きついたまま、顔を上げた。
「ディア、オレの事は『コラン』って呼んでくれ!な?」
「はい。コラン様」
迷う事なく、ディアは了解した。
ディアはコランを溺愛しており、従順なのだ。
「亜矢サマ」
ディアは、亜矢に視線を向けた。
「私が、天界までお連れします」
思いがけない言葉に、亜矢は思わず「えっ?」と声を出して驚いた。
コランも少し驚いて、ディアに問いかけた。
「兄ちゃんが許してくれるかな?」
ディアは相変わらず笑顔で優しく答えた。
「コラン様。私がここにいるという事は、魔王サマのご意志なのですよ。亜矢サマとコラン様を天界までお連れするというのが私の使命であり、魔王サマからのご命令なのです」
亜矢は、魔王の事を思い浮かべた。
確かに魔王は助言をしてくれたが、ここまで協力的に動いてくれるとは思わなかった。
「魔王が……そんな事を?」
まさか、グリアが天界に行く事も、亜矢が天界に行こうとする事も魔王は見通していたというのか。
何はともあれ、今はそんな魔王の協力が心強く、素直に嬉しい。
「心配はありません。亜矢サマとコラン様は私がお守りします」
ディアはそう言うと、クローゼットの扉を開けた。
以前、ここに魔界への入り口を繋げた時と同じように、今回もこの中に天界への入り口を繋げるつもりなのだ。
だが、コランがディアに向かって訴えた。
「待って、オレがやる!アヤの願いは、オレが叶えるんだ!!」
コランは自分の手元にポンッ☆と『悪魔の槍』を出現させた。
コランは、自分の力で天界への入り口を作るというのだ。
ディアはこれもすぐに了解し、クローゼットから少し離れた。
「はい。お願いします」
「コランくん、お願い!頑張って!」
亜矢もコランに声援を送る。
コランは二人のお願いを受けて、嬉しく思いながらも真剣に精神を集中した。
槍の先をクローゼットの中に向け、力を放った。
「えいっ!!」
槍から放たれた魔法の力はクローゼットの中で光り輝き、やがてそこに渦巻く空間が出来上がった。
コランは恐る恐るクローゼットの中を覗き、次にディアを見た。
「成功した……か?」
ディアもその中を覗き、コランに微笑んだ。
「はい。ご立派ですよ、コラン様」
コランはパっと瞳を輝かせた。そして同時に亜矢も。
「すごい、コランくん!!ありがとう!」
亜矢からも褒められ、コランは照れながら笑った。
「さあ、参りましょう。私が案内します」
ディアが先頭に立ち、クローゼットの中の空間に飛び込んだ。
亜矢は多少の不安も抱えつつ、コランと手を繋ぎながらその空間へと飛び込んだ。
(天界へ……)
果たして、向かった先に何があり、自分には何が出来るのか。
目的も不明確ではあったが、今の亜矢はとにかく、自分の思うままに向かうべき場所へと進む事を決意したのだ。
そう。この時の亜矢は気付いていなかったが……
グリアがあの時、亜矢にわざわざ行き先を告げたのは何故か。
グリアは、今回の事が自分だけの闘いではない事を悟っていた。
運命を切り開くのに必要なのは、自分の力だけではない事を。