死神×少女+2【続編】
何か温かく柔らかい感触に、グリアは意識を取り戻した。
目を開けると眼前に亜矢の顔があって、なんと……自分に唇を重ねていた。
グリアが目覚めた事に気付いた亜矢は、ハッとして慌ててグリアから離れた。
「……何してんだよ」
亜矢は頬を赤くしながら答えた。
「口移しよ。命の力を注げればなぁって…」
亜矢は真剣なのだろうが、グリアは可笑しくなって思わず笑った。
「ククク…」
「何で笑うのよ!?あんたが栄養不足で倒れるからでしょ!?」
「それで?口移しが出来ると思ったのか?自力で」
「わ、分からないけど!!もう元気なの?」
グリアはベッドの上で、平然と身を起こした。
「こんなモン、飯食って寝れば治る」
「前にも聞いたわね、それ」
気付けば時刻はもう夕方だ。
このままグリアを放っておく訳にはいかないだろう。
コランは魔王と一緒だし、夕飯は何とかしてくれるだろう。
死神は生命力を補う方法の1つとして、人間の食べ物でも多少は栄養の代わりになるらしい。
「今日は、ここで夕飯作るわ。キッチン借りるわね」
グリアの了解も待たず、亜矢はキッチンに向かい、冷蔵庫を開けて物色する。
だが、すぐにグリアのいる寝室の方へと戻って来た。
「何よあれ!?食材が何もないじゃない!!」
「いつもテメエんちで食ってるからなぁ」
「威張るな!!あたしの家から材料持ってくるから、待ってなさい!!」
そう言って玄関に向かおうと思った瞬間、足を止めた。
なんか……なんか、これって……
するとグリアが心を読んだように、亜矢の背中に向かって言葉で繋げてきた。
「面倒くせえな。いっそ同棲するか」
グリアの顔を見る。いつもの、ふざけた笑いだ。
ここで真剣な顔だったらと、淡い期待を抱いてしまった自分が悲しい。
亜矢は勢いよくグリアに向き直った。
「はぁ?誰があんたと!?冗談じゃないっ!!」
亜矢が辿り着いた場所。
自分自身で居られる居場所。
命も記憶も、名前さえも取り戻してくれた人。
ようやく、亜矢の中で答えが出た。
ここは、魔界。
城の自室に戻るなり、魔王はベッドに勢いよく倒れ込んだ。
今日はもう、魔王としての仕事をする気にはなれない。
大きすぎるこのベッドも、アヤメを亡くして独り身となった今では持て余している。
亜矢は必ず、自分の元へ帰って来る。
亜矢の魂は、アヤメの魂でもあるのだから。
そう思って余裕を見せていたはずなのに、この苛立ちは何なのか。
魔王は寝転がりながら、手に小さな何かを持って眺めた。
それは、指輪だった。
金色の金属の輪に、魔王の瞳と同じ色の赤い宝石が施されている。
アヤメが生涯ずっと、左手の薬指に嵌めていた『婚姻の証』だった。
持ち主を失くした指輪は400年以上経った今でも、当時と変わらぬ輝きを放っている。
どんな手を使ってでも、亜矢とアヤメを手に入れる。
その野望だけを胸に、深紅の瞳を鈍く光らせた。
目を開けると眼前に亜矢の顔があって、なんと……自分に唇を重ねていた。
グリアが目覚めた事に気付いた亜矢は、ハッとして慌ててグリアから離れた。
「……何してんだよ」
亜矢は頬を赤くしながら答えた。
「口移しよ。命の力を注げればなぁって…」
亜矢は真剣なのだろうが、グリアは可笑しくなって思わず笑った。
「ククク…」
「何で笑うのよ!?あんたが栄養不足で倒れるからでしょ!?」
「それで?口移しが出来ると思ったのか?自力で」
「わ、分からないけど!!もう元気なの?」
グリアはベッドの上で、平然と身を起こした。
「こんなモン、飯食って寝れば治る」
「前にも聞いたわね、それ」
気付けば時刻はもう夕方だ。
このままグリアを放っておく訳にはいかないだろう。
コランは魔王と一緒だし、夕飯は何とかしてくれるだろう。
死神は生命力を補う方法の1つとして、人間の食べ物でも多少は栄養の代わりになるらしい。
「今日は、ここで夕飯作るわ。キッチン借りるわね」
グリアの了解も待たず、亜矢はキッチンに向かい、冷蔵庫を開けて物色する。
だが、すぐにグリアのいる寝室の方へと戻って来た。
「何よあれ!?食材が何もないじゃない!!」
「いつもテメエんちで食ってるからなぁ」
「威張るな!!あたしの家から材料持ってくるから、待ってなさい!!」
そう言って玄関に向かおうと思った瞬間、足を止めた。
なんか……なんか、これって……
するとグリアが心を読んだように、亜矢の背中に向かって言葉で繋げてきた。
「面倒くせえな。いっそ同棲するか」
グリアの顔を見る。いつもの、ふざけた笑いだ。
ここで真剣な顔だったらと、淡い期待を抱いてしまった自分が悲しい。
亜矢は勢いよくグリアに向き直った。
「はぁ?誰があんたと!?冗談じゃないっ!!」
亜矢が辿り着いた場所。
自分自身で居られる居場所。
命も記憶も、名前さえも取り戻してくれた人。
ようやく、亜矢の中で答えが出た。
ここは、魔界。
城の自室に戻るなり、魔王はベッドに勢いよく倒れ込んだ。
今日はもう、魔王としての仕事をする気にはなれない。
大きすぎるこのベッドも、アヤメを亡くして独り身となった今では持て余している。
亜矢は必ず、自分の元へ帰って来る。
亜矢の魂は、アヤメの魂でもあるのだから。
そう思って余裕を見せていたはずなのに、この苛立ちは何なのか。
魔王は寝転がりながら、手に小さな何かを持って眺めた。
それは、指輪だった。
金色の金属の輪に、魔王の瞳と同じ色の赤い宝石が施されている。
アヤメが生涯ずっと、左手の薬指に嵌めていた『婚姻の証』だった。
持ち主を失くした指輪は400年以上経った今でも、当時と変わらぬ輝きを放っている。
どんな手を使ってでも、亜矢とアヤメを手に入れる。
その野望だけを胸に、深紅の瞳を鈍く光らせた。