BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜

「まあ…一応、結婚に前向きに話し合った結果なんだけどな」

それはおめでとうと姫乃は言った。

「やっぱりね同じ班にいると仕事が終わっても話すことが仕事の事なのよね」

「それは自営業の人もそうじゃないの?」

「でも、私はそれが嫌というか、仕事とプライベートは別がいいタイプなんだと気づいたのよね」

「俺の親もそういうタイプだわ」

あっ、そっか、後藤くんのお母さんは店は手伝わずに普通に仕事してるって前に言ってたっけ。


「今、田辺さんが3班に来てるだろ?」

「うん」

「田辺さんに教えててミスをするとちょっと満里絵がキツイ口調になった事があってさ、それを見ていたカメラマンに、彼女怒ってたぞって言われたんだよ」

「満里絵がキツイ?」

あまり怒るイメージはないけど…

「そりゃ、腹立つ事もあるし、自分の体調もあるじゃん、今の時代、怒る指導はしてないつもりなんだけど、周りがどう捉えるかも気になる訳よ」

「班を変わるとかは?」

「それもどうしても耳に入るし、筒井くんが他の人と仲良く仕事するのを聞いたり見たりするのも嫌っていうか…」

「え、ただの惚気け?」

「いや、まあ…付き合いだして環境がやっぱり変わってきたということかな」

「筒井はカメラマンをやりたいから白石が辞めるって訳か」

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