BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
太志は運転席を開けて助手席から何かを取り姫乃の前に差し出した。
「ん、やる、お土産」
「え?」
「じゃあ、また」
そのまま運転席に座り次の配達へ向かった。
また?……太志さんの口癖かな?
だからまたって微妙なのよ。
渡された紙袋を見るとCから始まる高級ブランドの袋だった。
「えっ、えっ」
紙袋を開けると小さな箱が入っている。
これってお土産なの?
姫乃は事務所で満里絵を探した。
席にはいなくて3階に行ってみる。
「満里絵」
「あー、姫乃、どうしたの?」
「ちょっとロッカーに来れる?」
「いいよ」
2人はロッカーに行き姫乃はさっき貰った紙袋を見せた。
「シャネルじゃん、どうしたの、これ」
「今もらった、お土産って」
「お土産?例の彼?ちょっと今ってどういうこと?」
実は……と満里絵に相手は『宮乃』の人だということと出会った経緯を簡単に話した。
「それって、うちの彼氏のおかげもあるじゃーん(笑)」
「それはまあ、筒井くんの行きつけのBARだったし」
「ねぇ、これって指輪じゃない?」
「え?まさかでしょ、付き合ってないのに指輪はないでしょ、香水とかじゃない?」
開けたら教えてねとロッカーにそのまましまった。