BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
太志は煙草を消すと姫乃の顎を上げて姫乃の口唇にキスをした。
キスでぼーっとしている姫乃に「抜けるか?」と聞くとうんと頷いた。
太志は自分の指で口紅を拭き取り喫煙所の入口に立っていた後藤を見た。
姫乃は太志にぎゅっと両手を回して抱きついている。
姫乃の頭を撫でて本当にいいのか?ともう一度確認をする。
「だって…抱いて欲しい」
「わかったわかった、行こう」
姫乃の肩を抱くと後藤は後ずさりをして2人は喫煙所から出た。
「悪いね、そろそろ奥さんを引き取るから」
ぎゅーっと抱きついている姫乃は太志だけを見ていた。
太志はマスターと少し話して姫乃を連れて店を出た。
「後藤」
筒井が寄ってきた。
「西は何であいつと出ていったんだ?」
後藤は席に座った。
「えーっと……旦那みたい」
目の前で西が男に抱いて欲しいなんて言った事が後藤には信じられなかった。
ああいう顔をする事も…
「えっ、じゃあ偶然会ったって事か」
「そうだな…」
「何か、色気のある大人の男の人って感じだったね、モテそうだし、実際中にいた女性はあの人を誘っていたわけでしょ?」
「うん、そんな感じだった、それで西が多分…」
「ヤキモチ妬いて中に入っていったんだね」