BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
看板娘
2年後の冬…
木曜日の午前10時、KOGUMAの駐車場には1台の車が入ってきた。
ブォンブォンとエンジン音の高いスカイラインだ。
“着いた“
とLINEを送信して荷物を持って入って行く。
「おはようございます『宮乃』です」
「お待ちください」
新しい子かな?まだ若そう
「姫乃さん!」
荷物を持って降りてきたのは田辺だった。
「久しぶり」
新人で入ってきていた田辺は姫乃の後に1班に入った。
「やっほー、姫乃〜」
「満里絵、久しぶり〜」
満里絵もLINEをしたから1階に降りてきてくれた。
「いつも姫乃さんならいいのに」
田辺さんがそう言ってくれた。
だいぶしっかりしてきたらしく最初に新人教育をした私もほっとしている。
「今はね、子供の都合とか義姉さんの体調とかで朝にならないと誰が配達に出るかわからないのよ」
荷物を田辺に渡すと上に上がっていった。
「どう?満里絵、準備は進んでる?」
「まあまあね」
10月に辞めた満里絵は筒井くんとの結婚の準備をしていたのだが筒井くんの身内に不幸があり結婚式が延期になったのだ。
籍だけ入れてパートという形にしてもらいKOGUMAでまた仕事を続けていた。
やっと来月に挙式をすることが決まったのだ。
式を終えると時間を少し短くして働くらしい。
パートにしてもらって班も変わり少し気持ちも楽になったらしい。
また来る時は連絡するね〜と姫乃はKOGUMAを出て次の得意先に向かった。