BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜

田辺さんの紹介が終わると2階の事務所に移動した。

田辺さんは私の隣に椅子が置かれていてパソコンの使い方などを覚える。

班ごとに衝立があり広いフロアが事務や補助の女子社員とフォトカメラマンとに色々分かれている。

田辺さんをパソコン前に座らせて教えているとあっという間にお昼休みの時間になっていた。


「私は5階の社食に行くけど、田辺さんはどうする?」

「私は外に食べに行ってきます、行きたいお店が多いので」

「そう、じゃあまた昼からね」

「はい!」

元気だけは良さそうだ…

確かに市内中心部だから食事の店は昼も夜も多いけど、やっぱり安い社食だよねー。


姫乃は5階に行き今日は唐揚げ定食を頼んで1人で食べていた。

うーん、美味しい、唐揚げが大好きな姫乃

お水のおかわりを汲みに行き、席に戻り一気に飲み干した。

ずっと指導で喋っているから喉がカラカラだったのだ。

「隣いい?」

左を見ると同じ班の後藤基哉(ごとうもとや)くんだった。

「どうぞ」と言う前に座っていたが、後藤くんは同じ班のスタジオカメラマン。

歳も同じで仲は良い。

「おっ、唐揚げ定食、一緒だ」

「ここの社食って結構美味しいよね?」

「美味いし、安いし、助かるよな」

大きな口を開けて唐揚げを頬張る。

「なのにね〜」

「どうした?」

「田辺さんを社食に誘ってみたんだけど外に食べに行くって…」

「それはあれだろ」

「何?」

< 2 / 162 >

この作品をシェア

pagetop