BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜

ハンカチを拾った時に俺を見上げた姫乃、何かわからない感情があったんだよな。

前髪ぱっつんの顔が可愛いと思ったし、体が小さいからなのか男なのに母性みたいなものがあるのかわからないが、抱っこしたいなんて思ってしまった。

BARでチラチラと俺を見てくる姫乃、向こうも気になっていたみたいだ。

そんなの誘うに決まっている。

あまり経験はないと言っていたが、確かにそれは感じた、が、顔も体も俺のどタイプだ。

また姫乃を抱きたいと思うのはやっぱり何か惹かれるものがあるんだろうか、俺はワンナイトでもう一度抱きたいと思ったのは姫乃が初めてだった。

本当はあと2年ほどは仕事に打ち込みたいところだったが…出会ってしまったかもしれない。

後悔はしないように…

太志はメモに自分の電話番号を書いてホテルを出た。



姫乃は目を覚ました。

隣にはもう太志さんの姿はなかった。

時刻は9時半過ぎ、バスローブの紐を締め直してソファに向かうと、私のメモが無くなって太志さんの電話番号がある。

姫乃は嬉しくなった。

太志さんのメモには電話番号の後に
《また、いつか》と書かれてあり、《精算は済ませてあるから鍵だけ返してくれ》とも書かれてあった。

また…って書いてくれてある。

きっと忙しいのは本当だろう。

待っていいってことなのかな…私

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