BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
「班長に明日の洗いに出す着物を畳んでおいてって頼まれたんですけど、畳み方がわかりません」
「班長が教えてくれたんでしょ?」
「はい、でも上手く出来なくて」
仕方ないなぁ
「まず右の脇をね、折って…」
姫乃は一緒に畳んでいく。
「これは絶対に早く覚える事ね、午後から撮影があるからそれが終わってから教えようと思ってたんだけど、木曜日に『宮乃』っていう呉服店に洗いに出すのよ」
「洗い?」
「クリーニングみたいなものね」
「あぁ、はい」
姫乃は衣装部屋の説明を田辺さんにした。
たくさんのウェディングドレスやその他のドレス、着物とはレーンを分けていてそれぞれハンガーにかかっている。
「パソコンを見て」
その部屋に置いてあるパソコンには衣装の写真とデータが見れるようになっていた。
お客様と衣装が被らないように注意してねと説明をしていく。
着物は1班の使用が多いから明日『宮乃』さんに渡せるように畳んだものはこの棚において置くのとさっき畳んでみせた《たとう紙》と呼ばれる着物を包む紙ごと棚に置いた。
「他の班が使用した着物もここに置かれるから1班だけじゃないことは覚えておいてね」
「はい」
「着物の下に長襦袢(ながじゅばん)を着るのだけれどこれは数があるからチェックは必要ないけど1番汗をかくのは首周りだから汗ジミがひどい場合は渡す時にひと言『宮乃』さんに伝えること」
「長襦袢?」
「着物の下に着るのよ、肌着ね」
「なるほどです」
田辺さんはメモをとっていた。