BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜

ぐぅーと姫乃のお腹が鳴った。

「お腹空いたぁ」

時計を見ると19時が来ようとしていた。

「いいご飯どきに鳴るお腹だな(笑)」

「そうなの」

「何か食って帰るか?」

「そうね」

「じゃあビル前にいるから」

後藤は席に戻っていった。

姫乃もパソコンを切りロッカーから荷物を取ってくるとビル前の後藤くんを見つけた。

「車出そうか?」

姫乃は車通勤なので聞いてみた。

「おー、サンキュ」

2人は姫乃が借りている近くの駐車場まで歩いて行く。

後藤は電車通勤だ。

「じゃあ、俺、車停めれる店を探すわ」

「ありがとう」

借りている月極駐車場で姫乃が鍵のボタンを押すとピピッとライトがついた。

「えっ、西ってこの車?入社した頃って軽に乗ってなかったっけ?」

「うん、半年くらい前からこれだね」

「すげぇ、スカイラインじゃん」

「新車じゃないよ、親が車を変えるって言ったから貰うことにしたのよ」

「いいなぁ、車」

「免許は持ってるんだよね?」

「持ってるけど車を買う金がねぇ、まあ家が駅近だから電車が速いってのもあるんだよな」

「いいじゃん、駅近、私は駅から遠いし、実家に帰るのにも車がないと不便だから乗ってるしね(笑)」

姫乃がエンジンをかけるとブォンブォンと音が鳴る。

< 30 / 162 >

この作品をシェア

pagetop