BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
「乗って」
後藤は助手席に乗った。
「西はさ、デートとかは車で行きたい方?」
「んー、そうでもないかな、渋滞とかはやっぱり嫌だし、相手には特に求めないかな、自分が車出せばいいしね、デートはその人と行くのが重要であって、手段は関係ないかな」
「西って、小さいのにかっこいい事を言うよな」
「小さいは関係なくない?(笑)」
駐車場のあるラーメン屋に到着した。
カウンターに2人は座ると注文をする。
「今日はニンニクはだめだよ」
「あっ、いけね」
後藤くんはすぐにニンニク抜きでと訂正していた。
明日はロケが入ってるのに〜と姫乃は言い、シュシュを鞄から出して髪をまとめた。
目の前にラーメンが置かれて2人は食べ始めた。
「いただきまーす」
「次の日が休みだったら呑めたのにな」
「仕方ないよ、うちらの1班が暇でも他の班は忙しい時期なんだから…お互い様だしね」
「だな、西が止めなかったらマジでニンニク入れて食ってたわ(笑)」
後藤くんが奢ってくれて、駅まで送っていった。
家に帰りお風呂から上がると姫乃はスマホの画面を見た。
着信は…ないなぁ…忙しいのはわかるけど…
ついスマホを気にしちゃう。
電話番号を知ってるからかけてもいいって事も有り得るのかな…
でも自分から言い出した事を守れないのは嫌われる気がする。
太志さんがどういうつもりで教えてくれたのか、《また、いつか》のまたって社交辞令?
ベッドに入るともう一度太志の番号を見て目を瞑った。