BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
“今、外でご飯食べてました“
“車なんで迎えに行けますが、会いますか?“
連続で姫乃はLINEを送った。
しまったあまり送るとうるさいんだった。
ドキドキしながら1分ほど待つと既読がついた。
“疲れてるから少し会いたい“
“迎えに行きます、住所送ってください“
“わかった“と返事が来た。
会えるんだ、やった!
呉服店の『宮乃』はまだ訪問したことがなかった。
いつも来てもらうので、行くっていう事は頭になかったのだ。
15分ほどで着くと思いますと送ると『宮乃』の駐車場に停めていいからと返ってきた。
姫乃は口紅を塗り直して席に戻る。
「私、用ができたから帰るね」
「えー、俺来たばっかなんだけど?」
「筒井くん、ごめん(笑)」
後藤くんにはまたお金計算しておいてと言い、満里絵にはバイバイと手を振った。
「珍しいね、姫乃が途中で抜けるなんて」
満里絵が後藤に聞いていた。
「まぁ、でも今日は最初から食事だけって言ってたから用が入りそうだったんじゃないかと」
「ふーん…ねぇ、田辺さんてどんな子?」
満里絵の話題に3人は姫乃の事は忘れて盛り上がり始めたのだった。