BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
『宮乃』の駐車場に姫乃は到着した。
もちろん真っ暗で誰もいない…
店の入り口の方に近づいてみたが誰も見当たらない。
姫乃は車を降りて車の周りをぐるぐる歩いていた。
昼も会ったのに緊張で落ち着かない。
「姫乃?」
「はい〜?」
いきなり名前を呼ばれてびっくりした。
「ぷっ、なんて声を出してんだよ(笑)」
「だ、だってどこから出てきたんですか?」
「あぁ、あそこ」
店の建物の端を指さした。
真っ暗で何も見えない。
「いきなり現れてびっくりしたんです」
「あー、そうか、それは驚かせて悪かった(笑)」
太志は笑いながら大きな手で姫乃の頭を上から撫でた。
「むうぅ、これ以上小さくなりたくないから押さえないでください」
ちょっと姫乃は拗ねた。
太志は手を離した。
「あっ、ごめんなさい、やっぱり触って欲しい」
「ん?どっちだよ」
「押さえていいんで触って欲しい」
太志さんは後頭部を押さえて自分の方へ引き寄せてくれた。
「ふぁ…」
40cm程の差は密着して並んで立つと姫乃の首はもう真上を向いているようで…
「太志さん、身長いくつですか?」
思わず聞いていた。
「最近測ってないけど、188はあるかな」
「やっぱり高いですね」