BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
「それは……」
太志が話すのを止めた。
班長が名刺を太志に渡しに来たのだ。
「KOGUMAの振袖担当です、よろしくお願いします」
「初めまして、今日は兄の店長の代理の宮野太志です、いつもありがとうございます」
太志は名刺を班長に渡していた。
「西さん、あなたも名刺を」
「あっ、すみません、西と申します」
姫乃も名刺を渡した。
「宮野です」
にっこりと今まで見たことがない営業用の笑顔を初めて見た。
かっこいいのは変わらないんだけどな。
何か違う…でも着物はとてもよく似合っている。
姫乃は太志にもらった名刺を見ると『㈱宮乃呉服店 副店長 宮野太志』と書かれてあった。
「ふ、副店長?……宮野?」
西さん!と班長に言われて慌ててすみませんと謝った。
「兄が1ヶ月ほど留守にしているもので従業員に助けられながらなんとか勤めております」
そっかぁ、休みがないっていうのはお店にも出なきゃいけないからだったんだ…
お店は年中無休になってるしね、納得。
太志さんが『宮乃』の関係者だったなんて、通りでお金も持ってるはずだわ。
御曹司なのね。