BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
長襦袢を無地に変えてオレンジ系の振袖を持ってきていた。
下の方には黒の差し色が入っている。
「西さんは小柄なので柄は小さいものを…身長が高い人は柄が大きな物が似合います、西さんで試すと……こうすると子供っぽく見えるとおっしゃるんですけど、パレット持ってきて」
従業員の人が口紅のたくさん色のあるパレットを持ってきた。
「ちょっとだけゴム外すね」
このためにしっかり縛った髪の毛を外されてしまった。
「髪の毛は下ろしてハーフアップでもいいし、軽くアイロンで巻くか、ストレートでもいいのでこの色の口紅が合うかと……」
太志に顎を持たれて口紅を塗られた。
太志さんがじっと見てくる。
キスがしたいよ……
班長の拍手で姫乃はハッとした。
今…太志さんに気持ちを持っていかれそうだった。
太志がつけてくれたのは真っ赤な口紅だった。
「この口紅の色なんです、西さんの顔立ちに合いますよね」
長くなりましたがこの3着をおすすめしますねと班長に太志は説明をしていた。
えっと……私、選んでなくない?
今日、モデルの仕事だったっけ?
「いい選択だと思うわ、特に最後のオレンジ系は西さんがモデルになってもいいくらいよ」
「それはちょっと恥ずかしいです…」
「会社のデータも備考に似合う人の特徴を書き込んで誰でも合わせられるようにしなきゃね」
「そうですね」
「長襦袢は何枚か変えるのは西さんにまかせるわ」
「はい!」
従業員の方が新しい柄付きの半襟を何枚か持ってきてくれた。