BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
姫乃は自分の口紅がついている太志の口を拭いてあげた。
「こんな赤いのつけてたら大変(笑)」
テーブルから下ろしてくれて、荷物も持ってくれた。
車まで運んでくれて「お気をつけて」と見送ってくれた。
姫乃はありがとうございましたと頭を下げて車を出発させた。
「あら、口紅取ったの?」
班長はすぐに気づいた。
「トイレをお借りした時になんか恥ずかしくて取っちゃいました、着物と服は違いますね」
「でも似合ってたわよ」
「本当ですか?じゃあちょっと考えてみます(笑)」
もうすぐ会社に着く頃、班長に聞かれた。
「明日の田辺さんの歓迎会、お鮨屋になってたけど、大丈夫?」
そうだ明日の月曜日は田辺さんの歓迎会だ。
本当に後藤くんは仕事が早い。
「私、どこかでお刺身食べれないって言ってましたか?」
後藤くんでもこの前知ったばかりなのに…
「新人の頃に言ってたわ、珍しいから覚えてたのよね、自分も偏食がちなのよね」
班長が言った。
「田辺さんがお寿司が大好きで希望したので…まあ他にも食べるものはあると思うので大丈夫です」