BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
出会い

「筒井くんて、スポーツ好きだったのね、満里絵も好きだよね」

「そうなんだよ、今度チケット取れたら野球も見に行こうって話してて、共通の友達もいたりしてさ」

やっぱり共通の趣味って話が合うんだなと姫乃は話を聞いていた。

「いつから付き合い始めたんだ?」

後藤くんが聞いた。

「先月の飲み会の後かな、結構呑んでて俺が送っていって…」

しばらく筒井くんと満里絵の馴れ初めを聞いていた。

奥からバスケの試合が盛り上がり始めたみたいで大きな声が聞こえ始めて2人も見始めた。

トイレ行ってこよっとカバンを持ち姫乃は入っていった。


トイレから出てくると1人の男性にぶつかってしまう。


「すみません」とすぐに姫乃は謝った。

「いや、こちらこそ」

姫乃はまだ手に持っていたハンカチを落としてしまった。

拾おうとすると先に拾ってくれてパンパンと汚れを落としてくれた。

「どうぞ」と差し出してくれて、姫乃は顔を上げるといつもとは違う見上げるくらい背の高い男の人だった。

襟足が長めの黒い髪、センターわけをしていた前髪も長めでサイドに流していた。

見上げた身長も150cmの姫乃に比べて190cm近くありそうで、今までにこんなに背の高い人と近くにいたことがない。

だから顎のラインが結構伸びている感覚だった。

そして切れ長の瞳に姫乃は何秒経っていたのか…目が離せなくなっていた。

「?あの…」

姫乃は差し出されていたハンカチを受け取るのも忘れていて相手からは困ったような声が聞こえた。

「あっ、すみません!」

ハンカチを受け取ると姫乃は席に戻っていった。

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