BARでエンジェルキッスをくれた貴方は老舗呉服店の御曹司でした〜カクテル言葉はあなたに見惚れて〜
「8月に学科試験と実技試験がある、実技は5時間」
「5時間!」
「それの練習をしなくちゃいけないから、もしかしたら配達も行けないかもしれない、それは叔父が決めるから今はまだわからないんだ」
太志さんはLINEの画面を出して姫乃のトーク画面を開いた。
ん?と姫乃は画面を覗くと、右上の三本線を押し、ブロックと書いてあるところを目の前で押したのだ。
「っ……」
姫乃の目からは涙がポロポロこぼれていた。
「朝まで一緒にいような、姫乃」
「…うん」
太志はエンジンをかけると姫乃の家に向かった。
途中コンビニに寄ってお互い好きなものを買った。
太志さんが何でもカゴに入れていいよと言うから姫乃はお菓子をたくさんカゴに入れた。
普段こんなお菓子なんて食べないのに…
家に入ると太志さんは使い捨ての歯ブラシを買っていて「納豆食ったからさ、歯磨きたい」と洗面所に行った。
姫乃はアイスと飲み物を冷蔵庫と冷凍庫に入れ後はテーブルの上に置きっぱなしにした。
歯磨きから戻るとちょっと車に忘れ物と1度外に出た。
戻ってくるとベッドの前に太志は座り、その前に姫乃が座る。
「これ、姫乃に」
「え、何?」
姫乃は高級ブランドの小さな紙袋を開けた。
「これ…」
「前、約束した口紅」
「あ、開けてもいい?」