遠い星の君
類Side
仕事は毎日つまらなかったけれど
昼休憩は同期と話せる楽しい時間だった。
「なんで吉川さん弁当なの?」
横から聞こえてくる会話に耳を澄ませる。
「私食べるの遅いから、食堂のごはん多くて
食べ切るまで皆待たせちゃいそうだから。
っていうのは建前で、
本当はすんごい激しい偏食家なの」
「充希は好き嫌いマジで多いよね」
「わがままですいません……」
全く反省していない顔に皆が笑っていた。
「あ、そうだ今日ハロウィンだから
これ、ほかの同期にもあげといて。
ハッピーハロウィン!」
そう言って笑顔で彼女はフロアに帰っていった。
そこはトリックオアトリートじゃないのか?
「類、話聞いてる?」
「あ。ごめんなんだっけ?」
「おい、お疲れかよ」
相変わらず彼女はお人よしだった。