遠い星の君
その週末、類へのお礼にクッキーを焼いた。
彼の部屋に行って気分が高まっていたが、
よくよく考えると手作りって重い?
そんな不安にかられていた。
念のためラッピングしてみて、
念のため予備のクッキーも用意した。
それでも家を出るギリギリまで悩んで
とりあえずカバンに放り込んだ。
たまたま電車の時間が同期の1人、
日和《ひより》と重なった。
日和は類と同じ部署の高卒で
2人で話しているのを見たことがあった。
そうか、神様、そういうことですね!
私は日和に予備クッキーをあげながら
「これ類にも渡しといて」と頼んだ。
なんて卑怯な大人なんだ。
年下の子に押し付けて……
と思いながら仕事に向かった。