遠い星の君

充希Side


久しぶりに行った会社は普通だった。

新しい部署に入って、慣れないことも多かったが、

優しい先輩方のサポートで順調に進んでいた。

まだ復職してすぐなので定時で帰る日々。

帰り道に見る景色に懐かしさを感じていた。

たまに彼を見かけたが、彼はいつも1人で歩いていた。

私に気づいていないのか、はたまた避けられているのか、

彼と話すことはなかった。

もう存在すら忘れられている可能性もあるな。


家に帰って過去の写真を見返す。

そういえばそろそろ類の誕生日だな。

もう祝えるの最後のタイミングか。

次に会えることがあったら言おう。


終わりがあると人間は頑張れるもので

最後だからといつもより少し積極的になれた。

「類!おはよ~」

退職まで残り5ヶ月。
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