遠い星の君
(2年目 秋)

「今日はわりと飲むじゃん」

「ちょっと色々諦めちゃったからね」

少し悲しそうに吉川は笑った。

「なんで諦めたの?」

「幸せであってほしいから、かな」

「お気に入りのおもちゃ取り上げられて

 すねてる子供みたいな顔してんぞ。

 本当はおもちゃ欲しいのにごまかしてるだろ」

「うん、大正解。でも、もう大人だからさ」

まるで自分に言い聞かせるように話していた。

「大人だったら我慢しなきゃいけないこと?」

「ただ大事だから、邪魔したくないと思っただけ」

こいつら何があったんだ?

そういえば類も気分乗らないとか言って

今日の飲み断ってきたんだよな。

なんでこんなに噛み合わないのか。

これは完全に両片想いだな。
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