遠い星の君
研修のグループワークは
メンバーをわざと変えながら
いろいろなパターンで行われた。
人の顔色を見てしまう自分としては
少し苦しい班もあったが
基本的に同期に恵まれ楽しくできていた。
彼とは一度だけ同じグループになれた。
彼は静かに話を聞いているが、
ここぞと言う時に意見を言ってくれる人だった。
いろいろと考えて何も言えなくなってしまう私は
若いのにしっかりしてて助かっていた。
休み時間になって、同期が彼の学歴を話題に出した。
「村中君って高卒だよね?」
明らかにグレーゾーンな話しをした同期に
目が泳いでしまう。
「うん、まあ」と彼は慣れたように答えた。
きっと入社して何度もこんな話されてるんだろうな。
どうか気にしないでほしい。そう思った。
彼が見下されそうになっていることに
胸がモヤモヤしてつい話に参加してしまった。