遠い星の君
サプライズ
充希Side
「充希~おはよ~」
社員寮に入っているため
こんなこともあるよなと思いつつ
遠くを歩いている類を見る。
類はいつも通りクールに歩いていた。
今寂しいの私だけだろうな。
皆同じ寮から会社に行くわけで、
そりゃ知り合いにも出会うわけで、
類に話しかける前に話しかけられてしまった。
同期には悪いけど類と話したかったな。
駅までの道のりしか類と話せない。
そりゃ話せるだけ前の関係よりはマシだけど、
人間とは欲深い生き物なのです。
もっと類といる時間が増えればいいのに。
もちろんご飯に行ったり、休みの日に出かけたり、
そんなことができたら最高だけど。
これ以上、類の時間を奪っていいわけない。
「ただでさえ、わがままに付き合ってもらってるし……」
誘いますとか言っといて、全然勇気が出ない。
はるか遠く、違う星にいる優しい彼を
私のワガママで振り回していいのか分からない。
私といる時間を類がちょっとでも楽しんでくれますように。