遠い星の君

類Side


「私時間かかりそうだから

 先に席とっといて~」

映画を見終わって、休憩しようと入ったカフェ。

平日の仕事終わりだからか

カフェの人はまばらだった。

映画中の彼女は真剣な表情をしていて

終わるころには目をウルウルさせていた。

年上なのに小さな子供に見えた。

思い出し笑いをしていると彼女がやってきた。

「はいっ!」

渡されたのは苺のショートケーキ。

「何これ?」

「お誕生日ケーキ!

 ……もう過ぎちゃったけど」

本当にお人よしな人だな。

「お誕生日おめでとう!

 ちゃんとお祝いしたくて」

「ありがとうございます」

「楽しい1年になりますように!」

昔もらったカードにも書いてあったな。

変なウサギの絵を思い出す。

「類こっち向いて!」

スマホを持った彼女に写真を撮られる。

きっと顔緩んでるな。

彼女は今日一番の笑顔だった。


「じゃあ」

「うん!今日はありがとうございました!」

「こちらこそです」

「類と一緒に過ごせて楽しかったです!」

「そりゃ良かったです」
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