遠い星の君
充希Side
ドラマで見たことがあるワンシーン。
暑い夏の帰り道に、好きな人とアイスをはんぶんこする。
テレビの中ではお互い汗がにじむ制服姿で
2人だけで涼しさを共有しながら歩く。
そんな甘酸っぱい学生時代に憧れていた。
その憧れをアラサーになって無理やり叶えた。
類は気づいてないと思うけど
コンビニスイーツを発見したことの何万倍も嬉しい。
バイト代なんて口実で、はんぶんこがしたかった。
あのテレビに映っていた主人公も
こんなに嬉しい気持ちだったのかな。
「美味しいね」
「涼しい」
「暑くて外歩きたくないよね」
「社会不適合者じゃん」
「休みの日はおふとん防衛隊してる」
「何それ」
「守るために布団から動かないの」
「引きこもりよりすごいね」
「お家にいるの大好きで……」