遠い星の君


「じゃあ、何が好き?」

「やってたからテニスかな」

「体育できる系か!私できない!」

「普通ね、平均くらい」

運動もできちゃうのか、モテてそうだな。

「運動できるの良いね、憧れる」

「できそうな感じするのにね」

「顔だけは運動部って言われたことあるかも」

「なんか可哀想」

「頭良くて運動できて、オールマイティーだね」

「基準が小学生みたいだな」

「類くん告白されたことありますか?」

「まあ、人並みには」

「いいな~、私告白されたことない」

「どうやってこれまで付き合ってきたの」

「付き合うか、って言われて」

「大人の恋愛ってよくわからん」

「『好きです』って一度は言われたい人生だった」

「人生終わってるじゃん」

退職への日数を頭の中で数えながら笑う。

「なんか意外」

「恋愛マスターにでも見えた?」

「いや、でもモテそうって思ってた」

「恋愛マスター否定された」

「そんな器用そうな感じはしない」

「間違ってないけど、殴られた気分」
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