遠い星の君




だから想定外だよ、どうしよう。

「いいよ」

「え?!いいの?」

「何もないけどね」

「類の秘密暴いちゃうよ?」

「それは困ったな」

情報処理が追い付いていない。

類さん、なんでそんな平然としているの。

「家で何しようか、映画でもみるか」

「あ、うん、いいね」

これは世間で言う『お家デート』では??

カップルなりたてのときに行って、

素が出ちゃって、恥ずかし嬉しのアレでは??

「ご飯どうしようかな」

類の横顔はいつも通りで少し悲しい。

そんな気持ちを打ち消すようにふざける。

「もしかして、類の手料理が……?」

「いや、、いい、け、ど」

「全然良さそうじゃない返事」

「大したもの作れないよ」

「楽しみにしてまーす」

「期待しないで」

どんなご飯だって、類が作ってくれただけで

最高に美味しいのに。

欲張りな注文をしても受け入れてくれるとこ、

本当に類は優しいね。
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