キスまでの距離


ハルはバイトの上がりの時間が同じだったから、恐らく今帰ってきたのだろう。


何たって、ハルの家は今あたしたちがいるあたしの家の隣にあるのだから。



「……そっか、そういうことか」


「え?」

「ハル?」


ハルが何か言ったが、あたしとシンさんは意味がよくわからなくて聞き返した。



「シンさんは彼氏って言っても半ば無理矢理だったし、オレの入り込む余地があるかと思ってた。でもダメみたいだな」


「………?」


「まさか唯がキスされても吐かない男ができるとは思わなかったよ」

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