キスまでの距離
言われて、あたしはハッとした。
一度目のキスは猛烈な吐き気に襲われた。
でも、二度目のキスでは気持ち悪さが治まっていた。
あの男の顔が思い浮かばなかった――……。
あたしはシンさんにキスされるのが嫌じゃなくなったってこと――……?
「だからさ、オレのことはお兄ちゃんでも構わないよ。もう、男にならないから」
ハルが余りに悲しそうな表情を浮かべながら横を通り過ぎ、家の中に入っていった。
「……待って、ハル」