キスまでの距離
シンさんがメールの内容を読み上げ始め、あたしは持っていたグラスをガシャンとテーブルに戻して、ぎゅっと耳を塞いだ。
同時に目も強く閉じる。
何も聞きたくない。
見たくない。
あたしは恐怖から全てを遮断していた。
しかし、シンさんはそんなあたしを許さないとばかりに、あたしの両手首を掴み上げた。
驚きで思わず瞳を開けると、視界には怒りでギラギラと燃えるような双眸が映った。
肉に食い込みそうなほど強く握られた両手首がキリキリと痛む。