キスまでの距離


「……いつから、こんな」


シンさんが喉の奥から絞り出すように言葉を紡いだ。


「……お、お盆のちょっと前くらいから……」


シンさんのその真剣な瞳が少し怖くて、あたしも震える喉からなんとか言葉を捻り出した。


すると、急に腕を引っ張られ、何事かと思って反射的にギュッと目を瞑ると、温かいモノに包まれた。



――― 何?



驚いて再び目を開けると、シンさんに抱きしめられていた。


あたしとシンさんの間にはテーブルがあって、なんだか不自然な形ではあったが。

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